2025/10/22(公開: 2022/04/15)
任意売却できないケースや買い手がつかない売れない場合の対処法
任意売却はできないケースがいくつかあります。
例えば、債権者の同意が得られない、買主が現れない、査定額が低すぎるなどの要因で成立しないケースも少なくありません。
任意売却ができないケースには、法律・金融・市場の3つの要素が絡んでいます。
この記事では、それぞれの原因を整理し、実際に「売れない」ときの対処法をわかりやすく解説します。
任意売却の基本を知りたい方は、「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- ・年間相談件数3,000~5,000件
- ・8割以上の方が相場に近い価格で売却に成功
- ・売却後の残りの返済額:月10,000円前後の方が多数
- ・くわしい経歴→「競売体験者」だからわかります
目次
任意売却できないケース
ケース①:住宅ローン滞納なし(事故債権化してない)

任意売却は「売ってもローンが残る」状態で行う売却です。
つまり、住宅ローンが滞って、債権者が「このままでは回収できない」と判断して初めて動ける仕組みです。
この「滞納」が発生していないうちは、金融機関は原則として売却を認めません。
(つまり、住宅ローン滞納なしの状態では、基本的に任意売却はできません。)
なぜなら、まだ返済が続いている以上「完済できる見込みがある」とみなされるからです。
債権者が任意売却を検討するのは、あくまで競売に踏み切る寸前、つまり担保不動産を処分してでも回収しなければならないと判断した段階です。
逆に言えば、滞納前に「任意売却をしたい」と申し出ても、門前払いになることがほとんどです。
ただし、売却でローンをすべて返済できる場合は別で、それは通常の売却として扱われます。
私たちが任意売却を勧めるのは、「もう支払いが回らない」「このままでは競売になる」状況の方に限られます。
なお、任意売却119番は、不払いを促しているわけではありません。
あくまで競売という最終手段に追い込まれる前に、少しでも有利な条件で出口を見つけてもらうためのサポートをしています。
任意売却は、債務者が大きなリスクを背負う行為です。
信用情報の事故登録、資産の差し押さえ、新たな借り入れ制限、どれも現実に起こり得ます。
だからこそ、私たちは安易な滞納を絶対に勧めません。
大切なのは、「どう動けば最も傷が浅く済むか」を冷静に判断することです。
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ケース②:債権者の許可が得られない
任意売却を理解するうえで大事なポイントは「任意売却は誰のためにあるのか?」ということです。
答えは、債権者のためです。
債権者は、回収が難しくなった貸金を「できるだけ早く・費用や手間をかけず・たくさん回収する」目的のもと、任意売却を許可します。
つまり、債権者の同意(許可)がなければ始まらない。それが任意売却なのです。
では、債権者が任意売却を認めないのはどのような理由からでしょうか?代表的なケースをご紹介します。
1.そもそも任意売却を認めていない。
任意売却を一切認めない債権者があります。
なかには「任意売却は構わないが、売却時に完済してもらうのが条件です。」と言って、実質応じていない債権者があります。
2.債務者が連絡を絶っていた。売却に非協力的である
滞納中、金融機関からあった連絡や書面への応答を一切していなかった場合は、任意売却を申し出ても『今さら交渉には応じません。』といった回答を受けることがあります。
また、債権者との関係が悪い場合も同様です。
せっかく任意売却に取り組めても、「家の内覧はしたくない」「残債務は払わない」といった対応をするとやはり、競売処分となる可能性が高まります。
3.すでに競売申立が済んでおり、結果は競売に委ねたい


引用:住宅ローンを滞納したらいつから競売か?滞納月数別の対処法を解説
競売開始決定を受けても、任意売却は取り組めます。
しかし、債権者としては、申し立て時に相応の手間や予納金を納めたのに、また取り下げのために手間をかけなければならないことに抵抗を感じる方がいるのも事実です。
また、一部の金融機関は競売のほうが取引の透明性が高いとして、すべて競売処理とするところもあります。
関連記事:競売開始決定通知書が届いた後でも任意売却できるがハードルは上がる
4.債権者が複数あり、足並みが揃わない
これは、住宅ローンを二本立て(第一、第二抵当権の設定があるなど)で借りている場合や税金の滞納による差し押さえ処分を受けている場合も含みます。
5.不正な住宅ローン利用である


引用:フラット35を悪用:不動産投資に自己居住を偽り賃貸向けに
なかには投資物件の購入資金として、住宅ローンを利用している方がいます。
よく見受けるのが住宅金融支援機構のフラット35で投資マンションを購入しているケースです。
そのほかにも収入や職業を偽っていたり、購入金額を改ざんしているケースなども過去にはありました。
販売業者主導での結果であってもその証明は難しく、任意売却できないまま競売になるケースがほとんどです。
ケース③:関係者全員の協力がない
通常の売却では所有者の同意があれば、自宅やマンションを売却することが可能です。
任意売却の場合は、売っても借金のほうが多いことから、債務者および連帯保証人の同意も必要となります。
離婚している元配偶者が共有者である場合は、その方の協力を取り付けなければなりません。
連帯保証人や連帯債務者であっても同じです。相続が発生してれば、その相続人全員の同意が必要です。
なお、所有者とは登記上の権利者で、債務者とはローンを組んだ人です。
住宅ローンの場合、所有者と債務者は原則一致しています。
不動産担保ローンや日本政策金融公庫をはじめとする事業系の借り入れの場合は、所有者と債務者が異なることがあります。
この場合、物上保証人の同意も必要となります。
ケース④:競売入札までの時間が短い



任意売却は、時間との闘いです。
最も有利に進めたいのであれば、滞納初期から動くに限ります。
それは、相談から売却までの期間が最大限取れるからです。もちろん、滞納する前にご相談いただいても構いません。
では、競売開始決定となる前後でどのくらい時間(期間)が違ってくるのでしょうか。
(1)滞納前
基本的には「滞納中」「任意売却として競売手続きを猶予する期間」「競売入札期間まで」をまたぐため、短くても1年前後から最大2年近くに及びます。
これは、金融機関の社内手続きのしくみや管轄の裁判所のスケジュールによってかなり違っています。
(2)滞納中
滞納月数にもよりますが、基本的に債権者の連絡先が変わったタイミングが任意売却申し出のタイミングとなります。
保証会社やサービサーに移管される前後で任意売却を申し出て、許可が得られれば、そこから8か月から1年程度の任意売却期間が見込める可能性が高いと言えます。
(3)競売開始決定後
この段階になると強制執行が進んでいるため、裁判所のスケジュールがポイントとなります。
競売は進みが早い場合で三か月、長くても半年程度で入札期間を迎えます。
任意売却期間は完済できる場合で開札日の前日まで。そうでない場合は、入札期間初日の二週間前までが目安となります。
ただし、競売開始決定後に任意売却を債権者に申し出た場合は、たとえGOサインが出ても売却はかなり難しくなります。
なぜなら、その時点では不動産が差し押さえ状態になっており、原則として買主は住宅ローンを使えなくなるからです(一部の担保融資は例外)。
つまり、購入できるのは現金を持っている人か、転売狙いの買取業者だけになります。
金融機関もすでに競売に踏み切っている以上、「今さら任意売却で」なんて話には乗りづらいのが本音です。
結局、任意売却を成功させるには「どれだけ早く動くか」に尽きます。
滞納する前、あるいは滞納初期の段階で、任意売却の専門業者に相談し、債権者への根回しを始めておく。
これが現場での鉄則であり、最も現実的で安全なルートです。
関連記事:競売決定開始通知書が届いた後でも任意売却はできる?
買い手がつかないケース
1.売り出し価格の設定が高い

任意売却として市場で売却を図る以上、不動産も「商品」です。
売れなければ、当然ながら売買は成立しません。
通常売却の場合、いわゆる“たなざらし”といって、ずっと販売活動をすることはできます。任意売却はどうでしょうか。
任意売却はその不動産にかかる住宅ローンなどの担保融資を滞納することで生じています。
お金を貸した金融機関は、債券(貸金)の回収をいつまでも待つことはなく、一定期間が過ぎると競売で処分します。
任意売却にはタイムリミットがあるため、売り出し価格(実勢価格)の見極めが成功の鍵となります。
2.買い手がつきにくい時期もある
不動産は、いつ売っても同じように買い手がつくわけではありません。季節や時期によって、売れやすさに差が出るのが現実です。
たとえば引っ越し需要が高まる2月~4月頃は、新居探しをする人が一気に増えるため、物件が動きやすくなります。
これに対して夏場の7月~8月は動きが鈍く、任意売却でも買い手がつかないケースが増える傾向があります。
買い手がつかない、売れない場合の対処法
1.販売価格を見直す
任意売却では、裁判所が定める期限までに買い手を見つけなければなりません。
ところが思うように売却が進まず、「買い手がつかない」と悩むケースも少なくありません。
そうした場合は、販売価格を見直すことが必要になります。
ただし、任意売却の価格を勝手に下げられるわけではなく、最終的な決定権は金融機関にあります。
価格の見直しや金融機関との交渉そのものは、基本的に任意売却を担当する相談員(不動産会社や専門業者)の役割です。
じゃあ債務者本人はどう動けばいいのか?
2.物件の印象を良くする工夫をする
内覧に来た人が最初に気にするのは「清潔感」です。
傷や汚れが多いと「売主がこれまで大事にしてこなかったのでは?」という不安につながり、耐久性や耐震性まで疑われてしまうこともあります。
そのため、室内はできるだけ整理整頓し、日常的に清掃を心がけましょう。
気になる部分は簡単な修繕を行っておくと印象がぐっと良くなります。
ただし、中古物件を探している人の多くは「購入後に自分好みにリフォームする」ことを前提にしているので、売主が無理に大規模リフォームをする必要はありません。
3.任意売却の専門業者に依頼する

取材実績:テレビ朝日モーニングショーで当社の任意売却支援が紹介
任意売却は、宅地建物取引業免許さえあれば、基本的にどの不動産業者でも取り扱うことが可能です。
しかし実は、これが任意売却業者選びを難しくしています。
不動産業界自体が玉石混淆であり、事務所や看板、あるいは社員の雰囲気だけでは本当の実力は判断できないのです。
任意売却は、住宅ローンが滞り、不良債権化したところから始まる不動産取引です。
つまり、競売を視野に入れて進める売却であり、通常の仲介とは根本的に性質が違います。
正直に申し上げますと、一般の売買よりも手続きは格段にややこしいのです。
ですので、ただ物件を仲介できるだけでは話になりません。
競売の仕組みを知らなければ一歩も進めず、金融機関の考え方や社内ルールに通じていなければ交渉も止まります。
さらに民法や債務整理の流れ、相続・税法といった周辺知識まで必要になります。
「どの不動産会社でも任意売却を頼めば同じだろう」と思うかもしれませんが、それは大きな誤解です。
実際には経験のない業者に任せた場合、あっという間に期限を過ぎて競売で終わってしまった。こんなケースは実際に起こっています。
任意売却は「知識と経験を持った人間がやるかどうかで結果がまるで違う」というのが現実です。
関連記事:任意売却の相談先は不動産会社・弁護士・銀行?それぞれの役割をプロが解説
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<ご注意>媒介替え(業者変更)は簡単ではない
「とりあえず大手の不動産会社に任せて、ダメなら任意売却専門の業者に切り替えればいい」
そう考える方は少なくありません。確かに大手の不動産会社は安心感があります。
しかし現実は、媒介契約の期限が切れたからといって、すんなり他の任意売却業者に変えられるとは限りません。
現場では思った以上にトラブルになることが多いのです。
媒介契約自体は、不動産会社に売却活動を依頼するための契約にすぎず、種類も3つあって基本は3か月更新の自由契約です。
本来なら契約終了後に業者を替えることに大きな障害はないはずです。
ところが実際には「媒介替え(業者変更)は困る」と渋る業者が存在します。
さらに厄介なのは、任意売却の経験が乏しい業者です。
最初は「任意売却にも強い」と説明していたのに、ふたを開けてみれば債権者との交渉が後手に回り、結果的に競売に流れてしまった。
これは珍しい話ではなく、実際に何度も耳にしてきたケースです。説明と結末がまるで違う、そんな事態が現実に起きています。


私たちは、できる限り ご相談者さまに寄り添ったサポートをしますので、まずはご相談ください。(全国対応。土日、祝日も相談できます。)
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状況をお聞かせいただければ、無理のない方法を一緒に考えます。 ご相談はすべて無料・秘密厳守です。
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