日本の借金の特殊性:『連帯保証』・『個人保証』
”保証人には絶対なるな。” という戒めは、よく聞くものです。
しかし、親しい間柄で保証人の依頼を断るのは、至難の業です。「絶対に迷惑は掛けない。」「形式的なもの」と言われれば、返す言葉がありません。断れば、「そんなに信用していないのか。」と言われかねません。今後の付き合いを断つ覚悟、逆恨みを買う覚悟となります。
ご存知のように、連帯保証人は、「借りたのと同じ。」という立場です。厄介なことに、成人していれば収入などの返済能力のいかんに関わらず、連帯保証人として求める傾向が日本の金融機関にあります。
特に、海外から見ると、会社(株式会社)の借入にその会社の代表者(社長)が法人債務について個人保証をすることや、リコースローン(担保処分では借金が終わらない)がまかり通っていることです。日本以外の多くの国では、法人と個人は別物と規定されています。また、住宅ローンに関しても、ローン事故となれば、その担保物件を処分し、融資額を回収して終了です。
主債務者と同じ扱いであることから、任意売却においても連帯保証人への影響は避けられません。主債務者が返済に困ると、連帯保証人がその請求を受けます。借りてもいない借金で口座や給与の一部、所有する資産を差し押さえられたりすることもあります。しかも、一度連帯保証人になってしまうと、外れることはまずできないと思ったほうがいいでしょう。
《保証債務も相続対象》
保証人として借金の責任を負うと、完済までは消極財産として存在します。当然に相続で継承されてしまいます。
故人が誰かの債務保証をしていることを忘れたり、相続人が知らないまま積極財産を相続手続きしてしまうと問題です。相続はいいとこ取りはできませんので、一旦相続をしてしまうと、借金も同じく受け継ぎます。しかも債務は、法定相続人に法定相続割合で相続となります。つまり、「相続人Aだけに借金を相続させる」と遺言書に書いていても、債権者がそれを認めない限り、相続人全員に責任が生じるのです。