強制競売7つのデメリット
競売は透明性の高い取引と見なされている
競売は強制執行です。裁判所に申し立てて行うものであり、介在する者が裁判所関係者のみで、透明性の高い取引と言えます。任意売却の場合、ローンの不払いの原因の確証を得ることが難しいこと。また、債務者や不動産の仲介業者が介入することから、利害に懸念を持たれることがあります。そのため、任意売却には一切応じず競売で決着を図る金融機関も稀ですがあるのは事実です。
いっぽう、世間における競売のイメージは芳しいものではないようです。こと任意売却との比較が多いこの制度ですが、具体的にどのようなデメリットが存在するのでしょうか。
Ⅰ 強制執行である
通常の売却と違い、強制執行です。そこに誰かの意志や都合は反映されません。
Ⅱ 残債額が大きくなりがち
競売後に確定する借金は、『ローン残高-落札代金』だけではありません。ローン滞納時期から加算される遅延損害金だけではなく、実は競売費用も債務者負担なのです。
評価書という資料をもとに入札価格を決めなければならないのが競売物件です。買う側のリスクが高く、値段が伸びづらい傾向にあります。このことから、時価の7割から時に半額程度を開始価格とします。さらに開始価格の2割下回った金額でも落札される可能性があります。不人気の物件の場合、時価が1000万円とすると、開始価格は700万円、落札可能な金額は、560万円となります。
Ⅲ プライバシーへの懸念
配当要求といって、競売初期には家庭裁判所に競売にかかった物件の公示がなされます。その情報をつかんだ不動産業者らが物件に訪問をします。多くはチラシやDMもうちます。周辺が騒がしくなるため、近隣に異変を感じ取られることもあります。競売開始決定通知を受け取る前に転居をお勧めしているのは、これが主な理由です。競売は裁判であるゆえ「事件番号」が付与されます。入札期日が近づくと、インターネット上で情報公開されます。
Ⅳ 強制退去
落札後は、落札者が所有者となります。元の持ち主は占有者となってしまい、その物件に住む権利はありません。強制執行ともなれば、その期日には退去先が決まっていなくても、荷物は家の外に出されることになります。一般に鍵は交換となり、退去後は内部に立ち入ることはできなくなります。
Ⅴ 立ち退き料は期待できない
競売では基本的に立ち退き料や引越し費用等の請求をしても、応じてもらえません。たいてい「〇月〇日までに引っ越してください。」と、通告がきます。退去日の話し合いには、応じてもらえないでしょう。落札業者の多くは、占有者となった元所有者に甘い顔を見せるとかえってトラブルになる、とすぐ強制執行を申し立てる傾向にあります。
Ⅵ 精神面での不安
強制売却につき、裁判所の手続きに従って事が進みます。いつごろ、どうなって、誰から連絡が来るのか、また落札者からの連絡手段がどんなものなのか、不透明なまま競売は進みます。
Ⅶ 競売を止めるには、弁済か任意売却のみ
担保ローンの滞納が生じると、債権者(金融機関等)は差押えて換価換金する権利があります。競売を止めるには、金融機関が求める額の「弁済」または任意売却しかありません。たとえ弁護士に依頼しても、取り下げには至らないのです。