住宅ローンのリスケジュールとは?
住宅ローンのリスケジュールとは、銀行などの金融機関に返済条件の変更を申し出て、毎月の支払い額や返済期間を調整してもらう手続きのことです。
景気の変化や収入の減少など、やむを得ない事情で返済が厳しくなった人の支援策として利用されています。
ただし、条件を延ばせば返済総額が増えるため、慎重な判断が必要です。
本記事では、リスケジュールのメリット・デメリット、リスケしたのに任意売却で自宅を手放したケースなどを紹介します。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
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目次
住宅ローンのリスケジュールとは?
「リスケジュール(略してリスケ)」とは、支払い計画を見直すことを指します。
主に、住宅ローンの返済が難しくなった人が、金融機関に相談して返済条件を変更する手続きです。
銀行などの金融機関は、延滞が始まる前の段階で「まずはご相談ください」と案内します。
これはつまり、「住宅ローンを最後まで支払えるよう、計画を立て直しましょう」という意味です。
具体的には、返済期間を延ばして月々の支払い額を減らす方法が一般的です。
ただし、期間を延ばす分だけ利息の支払いが増え、総返済額が大きくなる可能性がある点には注意が必要です。
住宅ローンのリスケジュールは3種類ある
①支払いを待ってもらう
具体的には、滞納している数か月分を、ボーナス受取時にまとめて支払う、といったものです。
数か月以内の滞納消化ならば、その後の返済計画への影響も少なく、問題になることも少ないでしょう。
②一定期間利払いのみとする
多くの金融機関は、半年から最大2年程度、元本を据え置き、その期間だけ利払いを認めることがあります。
利払い期間が過ぎると、猶予してもらった元本がその後の支払いに上乗せされたりして、以前より支払い額が増えることがあります。
目先の負担だけ軽くしたものの、利払い期間を終了したとたん、滞納に陥る、といったその場しのぎとならないように注意しましょう。
③支払い計画全体を見直す
住宅ローンは多くの場合、30年前後の長期契約です。
そのため、返済期間を延ばすと完済時期が大きく遅れ、老後まで返済が続くことになります。
リスケジュールを申請する際は、老後の生活資金や年金収入で返済が続けられるかを具体的にイメージしながら、全体の計画を立て直すことが大切です。
短期的な負担を軽くするだけでなく、「完済までの現実的な道筋」を意識して金融機関に相談しましょう。
住宅金融支援機構の特例
住宅金融支援機構では、次の条件をすべて満たす場合に限り、「特例」として、35年を超える返済期間(最長15年)の延長を認めてくれます。
- 1.年収に対する返済負担率(返済額÷年収)が4倍以下であること
- 2.世帯の月収が「世帯人数 × 6万4,000円」以下であること
- 3.住宅ローンの年間返済額が、年収に対して一定割合以内であること(基準あり)
※住宅金融支援機構の完済年齢は『80歳』となっていますので、この完済年齢を超えることはできません。
たとえば、以下の場合は住宅金融支援機構の「特例による返済期間延長」に該当するかをシミュレーションしてみましょう。
- 家族:4人
- 世帯年収:420万円(=月収 約35万円)
- 月返済:10万円(=年間返済120万円)
1.年収に対する返済負担率(返済額 ÷ 年収)
計算式:420万円 ÷ 120万円 = 3.5倍
→基準(4倍以下)を満たしているのでOKです。
2.世帯の月収が「世帯人数 × 6万4,000円」以下であること
計算式:6.4万円 × 4人 = 25.6万円
→実際の月収は35万円なので、基準より多く、この条件は満たしていません。
※この条件は「低所得世帯向け救済」を目的としており、たとえば世帯月収20万円台前半の家庭が主な対象です。
3.住宅ローンの年間返済額が、年収に対して一定割合以内であること
今回のケースは「低所得基準は満たさない」ため、自動的に特例対象にはならないですが、以下のような条件があると審査で認められる場合があります:
- 一時的な減収や病気・教育費などの理由が明確
- 延長すれば返済が継続可能であると見込まれる
- 延滞が長期化していない(目安:3か月以内)
- 担当金融機関が再建計画に前向き
住宅ローンをリスケジュールするメリット
リスケジュールを行う最大のメリットは、一時的に住宅ローンの支払いが難しくなったときでも、返済を続けられるようになることです。
銀行に相談して返済額や期間を調整することで、競売や延滞を避けながら生活を立て直す時間を確保できます。
たとえば、こんなときにリスケが有効です。
- 病気やケガで入院し、一時的に収入が減ったとき
- 子どもの学費などの出費が一時的に増えているとき
- 数年後に退職金で完済できる見込みがあるとき
- 保険の満期金や相続などで、近いうちにまとまった資金が入る予定があるとき
住宅ローンをリスケジュールする8つのデメリット
1. 優遇金利が外れることがある
現在の住宅ローンには「金利優遇キャンペーン」で通常より低い金利が適用されているケースがあります。
しかし、リスケジュールを行うと契約条件の再設定=新しい契約とみなされ、優遇金利が取り消される場合があります。
金利が0.5〜1.0%上がるだけでも、総支払額は数十万円から百万円単位で増えることがあります。
2. 変動金利では金利引き上げのリスクも
特に変動金利型ローンでは、リスケの際に銀行側が「貸出条件の見直し」を行い、これまでの優遇幅を減らしたり、基準金利を上げることがあります。
つまり、「返済を楽にしたつもりが、利息負担が増える」こともあり得ます。
3. 返済期間が延びることで総利息が増える
リスケをすると返済期間が延びるため、利息の支払いが増えます。
結果として、トータルの返済額(借金)が増える点が最大のデメリットです。
実際、任意売却を経験した人の多くが「過去にリスケをした」と答えています。
一時的には助かっても、根本的な解決にはならないケースが少なくありません。
関連記事:任意売却の成功事例(ケース別の解決方法)
4. 延滞があるとリスケは申請できない
すでに延滞(支払い遅れ)が発生している場合、銀行はリスケの相談に応じないことが多いです。
リスケは「延滞前の段階で行う防止策」だからです。滞納分をすべて清算してからでないと審査に進めないケースがほとんどです。
5. 審査を通過しないと利用できない
リスケジュールは単なる「相談」ではなく、銀行が審査して承認する正式な手続きです。
収入や家計、勤務状況を再確認され、返済継続の見込みがないと判断されれば、認められません。
特に自営業者や収入が不安定な方は審査で落ちやすい傾向にあります。
6.金融機関にとって要注意債権になる
リスケをすると、滞納がなくても金融機関にとっては、要注意債権となります。
理由は、当初の支払い計画が達成できないからです。
リスケをする以上、その借主の経済状態はギリギリかそれ以下であることは明白です。
特に、ローンを組んでまだ数年内なのに、もうリスケを考えている場合などは、おそらく残り数十年のローンは返しきれない可能性が高い、と言えるでしょう。
また、他の銀行への借換えが通りにくくなる可能性もあります。
関連記事:任意売却は交渉が命!銀行と相談すべきポイントを解説
7. 追加の担保や保証人を求められることがある
返済条件を緩和する代わりに、金融機関が担保の追加設定や保証人の追加を求めることがあります。
つまり、負担を軽くする代わりに、リスクを家族や資産に広げる形になる場合もあるのです。
8.一時しのぎになりやすい
特に「元本据え置き型(利息だけを払う)」のリスケをした場合、半年〜1年ほどは支払いが楽になりますが、元本は減りません。
収入が増えないままリスケの期間が終わると、以前より支払いが重く感じることもあります。
つまり、リスケは一時的な延命措置に過ぎず、収入改善の見通しが立たない場合は、かえって負担が大きくなることもあるのです。
住宅ローンをリスケジュールする際の注意点
これまでの事例で、相談者の中にはリスケに応じてもらう代わりに、家族を保証人とするよう求められてしまった、というケースが複数あります。
本来、ローンとは無関係であった妻子などが、連帯保証人としてローンに巻き込まれるのです。
中には、特段の説明もなく、”奥様の署名押印と印鑑証明書をお願いします”と言われて、差し入れてしまった、というケースもありました。
リスケしたローンは先に説明した通り、金融機関は「要注意債権」と見なしているので、債権回収の確実性を高めるために、担保や連帯保証人を取りたい、という思惑はあるでしょう。
リスケの際、家族の署名・押印を求められた場合は、その目的を確認し、できるだけ家族を巻き込まないことです。
中には、まだ社会人になりたてのお子さんをリスケの際の保証人にしてしまったことで、任意売却時にお子さんが多大な影響を被ったケースがいくつもあります。
関連記事:親子ローン最悪の落とし穴と任意売却での再出発方法を解説
住宅ローンのリスケジュールで誤解されること
返済期間を延ばすと信用情報に傷がつく?
返済期間を延長しても、信用情報に「事故情報」として記録されることはありません。
信用情報にキズがつくのは、一定期間の延滞・代位弁済・債権譲渡・債務整理などが発生した場合に限られます。
リスケジュールは、延滞を避けるための正式な手続きであり、マイナス評価にはなりません。
関連記事:任意売却するとブラックリストに載る?信用情報への影響をプロが解説
団体信用生命保険(団信)はどうなる?
団信の保障期間は通常80歳までとされています。
そのため、返済期間を延ばしても完済年齢が80歳以下であれば、基本的に団信の保障は継続されます。
ただし、金融機関や保険会社の約款によって条件が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
住宅ローンをリスケしても自宅を手放すケース
リスケジュールは、一時的に支払いを和らげる手段として有効ですが、根本的な解決にならず、最終的に自宅を売却(任意売却含む)する方も少なくありません。
ここでは、実際によく見られる4つのケースを紹介します。
1)リスケ後も完済が老後にずれ込み、年金生活でも終わらない
シニア世代の任意売却理由で最も多いのがこのパターンです。
教育費や生活費の負担が重なった時期にリスケを行い、そのまま返済期間が延びた結果、年金生活に入ってもローンが残ってしまうのです。
退職後にもボーナス払いが続くような契約だと、支出のバランスが崩れやすく、入院などのちょっとした出来事でたちまち延滞に陥ることもあります。
2)転職で収入が減り、据置期間後に支払い不能に
かつては転職すれば給与アップが期待できましたが、今は事情が違います。
非正規雇用や契約社員など、安定しない働き方に変わるケースも多く、リスケで一時的に利息だけを支払う「元本据置期間」が終わると、返済額が元に戻って支払いが苦しくなります。
特に社会保険料や税金の負担が増えている今、手取り収入が減る一方で、生活の余裕はどんどん削られていくのが現実です。
3)カードローンやリボ払いで家計が限界に
「毎月の支払額が一定だから安心」と思って使い続けたリボ払いが、家計を圧迫する大きな原因になっている方も多いです。
リボ払いの金利は10〜15%と高く、支払っても元本が減らないどころか、借金が膨らんでいくこともあります。
住宅ローンよりも先にリボ払いが家計を崩壊させ、結果的にローン延滞を引き起こしてしまうのです。
関連記事:任意売却で住宅ローンとカードローンを整理して破産せず解決した事例
4)リスケしても売上が戻らず、再び滞納に
個人事業主や中小企業経営者に多いのがこのケースです。
事業の浮き沈みは避けられず、一時的なリスケで資金繰りをつないでも、根本的に売上が回復しなければ延滞が再発します。
銀行も何度もリスケに応じるわけではなく、最終的には「返済不能」と判断されることもあります。
リスケは時間を稼ぐ手段であって、収益構造を立て直す代わりにはならないのです。
関連記事:事業リスケが通らず住宅ローン滞納を任意売却で解決した名古屋の事例
住宅ローンのリスケジュールで悩んでいる方へ

テレビ朝日スーパーJチャンネルで任意売却119番の支援事例が紹介
「今は何とか返しているけれど、この先どうなるかわからない」そんな不安を抱えたままリスケジュールを続けている方も多いのではないでしょうか。
住宅ローンのリスケジュールは、返済を一時的に楽にする手段ですが、根本的な解決にはつながらないこともあります。延命ではなく「生活再建」を目的に考えることが大切です。
任意売却119番では、ローンのリスケ後に再延滞してしまうケースや、老後まで返済が続く不安を抱える方のご相談を数多く受けています。
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