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住宅ローンが残っている家でも売却できますか?

転勤や離婚など、何らかの理由で住宅ローン返済中の家を手放したい場合、スムーズに売却できるのでしょうか?結論から言えば、売却可能ですが、条件があります。

本記事では、住宅ローンのある家を売る方法と、実際に手放す流れなどをわかりやすく解説します。

富永順三
  • この記事の監修者
  • 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
  • 宅地建物取引士
運営元:任意売却支援機構株式会社 会社概要:運営事業者情報 経験年数:創業20年 / 年間相談件数3,000~5,000件 メディア実績日本経済新聞テレビ朝日 羽鳥慎一モーニングショーNHKクローズアップ現代+など 8割以上の方が相場に近い価格で売却に成功|売却後の残りの返済額:月10,000円前後の方が多数|くわしい経歴→富永順三のプロフィール
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富永順三出演 〇〇番組キャプチャ
富永順三出演 テレビ朝日モーニングショー2021年9月24日放送インタビュー画像

住宅ローンのある家を売るには:抵当権を外さないと売れない

住宅ローンが残っている間は、融資を行った金融機関が抵当権を設定しています。抵当権とは、融資を行った金融機関が、融資をした相手の財産を担保とするものです。万が一、借金の返済が見込めない場合、その担保(住宅ローンの場合は、融資した物件)を差し押さえて売却し、貸金の回収ができる権利です。つまり、ローンが1円でも残っていると、その家は完全にはあなたのものではありません。そして、抵当権がある限り、お金を借りている側は、金融機関に断りなく担保不動産を売却できません。

では、抵当権を外すためにはどうすればいいのでしょうか。それは残っている住宅ローンを全て返済すればいいのです。借金を全部返せば、抵当権も抹消できるので、持主の意思だけで自由に売却できます。

住宅ローンのある家を手放すケース

離婚

離婚を理由に家を手放すケースはかなり多いです。夫婦で築いた財産(持ち家)は「財産分与」の対象になりますが、その方法は家の状態によって異なります。

まず、売却して現金化する場合、売却代金で住宅ローンを完済できるかどうかが重要です。

たとえば、住宅ローンが1,500万円残っている家を売って、売却価格が2,000万円だった場合、ローンを完済しても500万円が残るので、諸費用を引いた金額が夫婦の財産分与の対象となります。

しかし、売却価格がローン残債を下回る場合は、家は財産分与の対象外です。残った借金は、原則として住宅ローンの名義人が引き続き返済義務を負いますので、離婚後の責任の所在について明確にしておく必要があります。

また、夫婦でローンを組んでいる場合(ペアローンなど)は、夫婦双方の売却に対する合意がなければ、そもそも家を売ることができません。

引っ越し・転勤

住み替えや転勤で現在の家を手放す場合も、ローンの残債処理がポイントになります。

とくに、新しい家を購入する「買い先行」の場合には注意が必要です。旧居のローンが残っていると、新居のローン審査に通りにくくなる上、一時的に二つのローンの支払いが重なる「二重ローン」で家計の負担が非常に大きくなります。

逆に、家を売ってから新しい家に引っ越す、「売り先行型」という住み替え方法なら、新しい家を購入する前に、手元の資金が確定するため、トラブルが起こりにくいです。

住宅ローンを払えない

住宅ローンの返済は長期にわたるので、たとえば勤務先の倒産、突然の病気や事故による収入減など、経済状況が悪化する可能性は常にあります。

住宅ローンを払えなくなった場合は、家を売却して資金確保を検討するのが、一般的な選択肢です。

特に、家の価値がローン残高を下回る「オーバーローン」状態なら、早めに対応することで、売却方法や条件について検討できる時間が確保できるので、有利な条件で家を売れます。

もっとも危ないのは、問題を放置し、ローンの滞納を続けることです。滞納が一定期間続くと、債権者である金融機関は容赦なく担保権を行使し、あなたの家は「競売(けいばい)」にかけられます。

競売とは、裁判所の手続きによって家を強制的に売却することです。競売になると一般市場での売却価格よりの5~7割になるケースが多く、多額の借金が残りやすいです。そして、最終的には強制退去させられます。

ローンの返済が厳しいと感じたら、まずは借入先の金融機関や不動産会社に相談して、売却の可能性を探ることをおすすめします。

▶ 関連記事:住宅ローンを払えないとどうなる?9つの解決策で大切な家を守る

住宅ローンのある家を手放す流れ

1.住宅ローンの残債を調べる

ローンが残っている家を売却するなら、まず残債がいくら残っているのかを正確に把握しましょう。

これが分からなければ、家がいくらで売れれば完済できるのか、自己資金の持ち出しが必要になるのか、といった重要な判断ができません。

残債を調べるための具体的な方法は、主に以下の3つです。

1. 残高証明書をチェックする

これは、年末調整や確定申告(住宅ローン控除)のために、毎年11月から翌1月頃に金融機関から送られてくる書類です。特別な手続きは不要で、直近の残高が一目でわかります。

もしこの証明書が見当たらない場合は、お金を借りている金融機関に連絡すれば再発行してもらえます。売却を決めたら、まずこの書類を探すのが最も手っ取り早いでしょう。

2. 返済予定表をチェックする

住宅ローンを組んだ際に、金融機関から渡される書類です。そこには、毎月の返済額や、元金と利息の詳しい内訳などが記載されています。

ただし、金利が定期的に見直される「変動金利型」ローンの場合、ここに記載されている情報だけでは、正確な残高はわかりません。あくまで目安としてください。

3. 金融機関に問い合わせる

最も確実なのは、借り入れ先の金融機関に直接問い合わせることです。

最近では、多くの金融機関がインターネットバンキングなどのサービスを提供しています。これに加入していれば、パソコンやスマホから残債を確認できます。

2.不動産会社に査定してもらう

住宅ローンの残りがいくらか把握できたら、次は不動産会社に「この家がいくらで売れそうか」を見積もってもらいましょう。これが「査定」です。

不動産会社の査定額が適正かどうか判断するために、ご自身でも売却の相場を調べておくことをおすすめします。

例えば、不動産ポータルサイトなどで、近隣の築年数や広さが近い物件の価格をいくつか確認するだけでも、効果があります。より専門的な情報をチェックする場合は、国土交通省が提供している「不動産取引価格情報検索」といった公的なデータベースもありますが、初めての方には難しく感じられるかもしれません。

もし、自分で調べるのが大変な場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、その結果を比較してみてください。会社によって得意とするエリアや、査定の根拠、販売戦略が異なるため、提示される査定額には幅があります。

ただし、一番高い査定額を提示した会社が、必ずしも一番高く家を売ってくれるとは限りません。なるべく高く売るなら、まずは「仲介」で売却活動を始め、一番熱心かつ現実的な査定額を出した会社と「専任媒介契約」を結ぶことをおすすめします。

3.売却金額で残った住宅ローンを完済できるか調べる

査定額が分かったら、その金額と現在の住宅ローン残高を照らし合わせます。

売却代金で住宅ローンを完済できる状態を 「アンダーローン」 といいます。この場合は、売却に何の問題もありません。

問題は、家を売ったお金で住宅ローンの残債をすべて返済できないときです。この状態のことをオーバーローンと言います。この場合は原則、ローンと売却額との差額を用意しないと売却できません。ただし、不動産の売買には、仲介手数料や抵当権抹消費用などもかかりますので、通常売却の際は、その費用も別途用意しなければなりません。

たとえば、残債3,000万円の家を売却する場合、諸経費の計算例は以下になります。

仲介手数料約103万(税込)+司法書士費用約2~5万+印紙代1万など

上記の場合、差額に加えて約100万円あまりの準備が必要なのです。

オーバーローンなら任意売却を検討する

では、オーバーローン状態の家を売るには、どうすればいいのでしょう?ここでは、以下の三つの方法をご紹介します。

任意売却とは

『ローン支払いが苦しく、残債額が売却価格に到底足りそうにない。差額の用意もできない。』こんな時は、任意売却があります。

任意売却とは、これまで説明してきた通常売却とは違い、担保割れかつ差額を用意できないままで売却をします。金融機関にとっては、借金をすべて返してもらえていないのに、売却(抵当権の抹消)に応じるのは、イレギュラーな対応です。そのため前提条件として、住宅ローンが払えなくなっている、つまり滞納が必要になります。

例えば、住宅ローン残債が2500万円あるのに自宅の市場価格が2,000万円。単純計算で残る500万円の用意ができないとします。任意売却は、その差額を用意せずとも金融機関との交渉で一旦売却に応じてもらい、残った債務は月々5,000円~10,000円のように少しずつの支払いとします。そんなことを金融機関が応じるのか?と聞かれますが、この仕組みは昭和時代からあるのです。

住宅ローン滞納から競売までの流れ

まず、住宅ローンを滞納してから、競売に向かうまでの大まかな流れを見ていきましょう。

  • 1.一括返済請求(滞納から半年ほど)
  • 2.競売開始決定通知が届く(滞納から約10~12か月)
  • 3.現況調査が家に入る(競売開始決定後1~2か月)
  • 4.期間入札の通知(調査の2~3か月後)
  • 5.物件情報の公開(入札開始の2~3週間前)
  • 6.入札開始(公開から約1週間ほどで設定)
  • 7.売却許可決定(開札から約1週間)
  • 8.明け渡し・立ち退き(落札者が代金を納付した時点)

任意売却できるタイムリミットは、2の「競売開始決定通知が届く前」です。これより後になると任意売却のハードルは一気に上がり、売却の条件も悪くなります。(最悪の場合は競売で終わります。)

競売の流れや注意点について、詳しくは「競売とは?」でわかりやすくお伝えしています。

任意売却のデメリット

任意売却には、知っておくべき7大デメリットがありますが、特に影響の大きいものが以下の2つです。

  • 1.信用情報に事故登録がなされる(ブラックリスト)
  • 2.連帯保証人にも影響がある

1について、よく誤解されますが、任意売却をしたからブラックリストに載るわけではありません。信用情報に記録されるのは、「住宅ローンを滞納した」という事実です。任意売却はローンが残っている状態で行います。任意売却する時点で、すでに住宅ローンを数ヶ月間、滞納しています。つまり、任意売却を始める前に発生した、「延滞の履歴」が信用情報機関に記録されるため、「信用情報に傷がついた」と言われるのです。

整理しますと、「任意売却 = ブラックリスト」ではなく、「ローンの滞納→信用情報への登録」という流れの結果、任意売却の検討に至っているのです。そのため、任意売却するか否かに関わらず、すでに滞納が始まっている場合は、その事実が信用情報に影響を与えているのです。

2については、任意売却後に残った住宅ローンの借金(残債)の返済義務があなたに残るため、あなたと同様に連帯保証人や連帯債務者にも、連絡が及びます。

詳しくは「任意売却の7大デメリットと失敗を回避する具体的な方法 」でわかりやすくお伝えしています。

住宅ローンのある家を手放すときの注意点

費用がかかる

家を手放すときには、さまざまな費用が発生します。事前に目安となる金額を把握しておきましょう。

仲介手数料 売却価格の3% + 6万円(税別)が上限
抵当権抹消登記費用 2万円〜5万円程度
繰上返済手数料(一括) 0円〜数万円程度
印紙税 1,000円〜数万円
その他諸費用 引っ越し費用など

住宅ローンを一括で返すとき、銀行に「繰り上げ返済手数料」を払う場合があります。この手数料の金額は、ローンを借りている銀行によって違います。例えば、「フラット35」など、手数料がかからないローンもあります。

利益が出たら税金を納める必要がある

家を売って利益が出ると、「譲渡所得税」という税金がかかり、売却益が出た人が払います。利益が出た年の翌年3月15日までに、自分で税務署に申告して納めなければなりません。

申告を忘れると、追加で罰金のような税金(延滞税など)がかかることがあります。

逆に、売却で損が出た場合、決まった条件を満たせば、給料などの所得と合わせて計算し、税金を安くできる特例もあるので、詳しくは不動産会社や税理士に相談しましょう。

住宅ローンのある家を手放す際のよくある質問

抵当権を消すのはいつ?

住宅ローンの返済が終わっている場合は、家を売る契約前に抵当権を消します。家を売ったお金でローンをすべて返すときは、買主からお金を受け取る日(決済日)に、抵当権を消します。

売却活動中は住宅ローンを返済しなくてもよい?

住宅ローンがある家を手放す場合、任意売却じゃなければローンの返済義務が続きます。もし返済を止めると、信用情報に滞納の記録が残り、今後お金を借りる際、審査の妨げになります。

任意売却以外に残っているローンを払う方法は?

1)高く売れる工夫をする、差額を預貯金で用意する

自宅は、住んでいる人には慣れた環境ですので、その傷みや汚れ、不具合は気にならないものです。しかし、これから家を買う側にとっては、初めての環境です。

みなさんも初めて訪問した家の汚損、臭気、明るさ等は気になるはずです。想像してみてください。数千万もの大金をかけて、一生に何度もない自宅を買うために見に行った先の家が、掃除も行き届かず、足の踏み場もないような家だったら…。買うどころかすぐにここから去りたい、と思うはずです。

実際、当初は低い価格の査定だったのが、50万円ほどかけてハウスクリーニングと壁紙の取り換えを行った結果、見込み額より数百万高く売れた、という話もめずらしくはないのです。

しかし、どんな努力をしても、ローン残高が売却額に到底届かないケースもあります。その場合は原則、差額を預貯金などから用意しないと売却できません。

2)フリーローンなどの借り入れや親族の援助で差額を補填する

これは、ローン残高+諸費用‐売却代金、差額分を用意するものです。この場合、ローンが完済できるので、たとえ購入直後であっても売却には問題はありません。方法としては、預貯金、親族の援助や借用、フリーローンなどの借入が候補に挙がります。

なお、親族からお金を借りるときは、返済履歴が客観的に分かるようにし、利子も支払っていないと、贈与とみなさることがあるので、借用書などを作成して、定期的に返済しましょう。親族の援助が期待できない場合は、金融機関やノンバンクから借り入れることを検討します。

3)住み替え用ローンを利用する

家を売る理由が買い替えや住替えであれば、住替え用のローンを利用するという手段もあります。これは、前の住宅を売った残債を新しい住宅の購入資金を加えてローンを組み直すものです。借金総額が大きくなるため、資金計画に注意が必要ですが、売却理由がローンが苦しいわけではない場合、住み替えも選択肢に入ります。

住み替えローンの注意点:基本的に次の物件を決めたうえで審査に臨むため、今の家を融資実行までの、金融機関が定めた期間内に売却しなければなりません(ローン総額が決定しなければ、融資実行ができないため)。

多くは、販売会社とあなたとの間で買取保証(期日までに買い手がつかなければ、買取をしてもらう約束。買取では値段が下がるのが通常)をつけます。そのため、期限までに売却ができないと、思ったより借金が多くなります。

ローンが残っている家が売れない場合は?

買い手が見つからない場合、今の家を他人に貸す「賃貸」という方法もあります。

しかし、あなたが組んでいる住宅ローンは、あなたがその家に住むこと前提で借りているお金です。そのため、家を他人に貸し出す前には、必ず金融機関の許可が必要です。もし、金融機関の許可を得て賃貸に出すことになった場合、ローンの種類が「投資用ローン」に変わり、今より金利が高くなる可能性があります。家賃収入と新しいローンの金利を比べ、毎月の収支がどうなるかを考えてから、この方法を検討してください。

まとめ

テレビ東京ゆうがたサテライトで当社の任意売却支援が紹介

住宅ローンが残っていても、家を手放す方法は一つだけではありません。売却したお金でローン全額を返す方法、不足分を自分のお金でまかなう方法、新しい家のローンに残りの金額を上乗せする住み替えローン、そして金融機関と相談して進める任意売却など、あなたの状況に合う方法がいくつかあります。

もし、どこに相談すればいいか迷ったら、当社にご相談ください。私たち「任意売却119番」は、住宅ローン問題と任意売却のプロフェッショナルです。金融機関との交渉から売却の手続き、売却後の生活再建までサポートします。

任意売却については「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリット」をご覧ください。

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