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住宅ローンが残っている家でも売却できますか?

◆売却できる時、できない時

転勤や離婚など、何らかの理由で住宅ローンを返済中の家を手放したい場合。住宅ローンが残っている家は、売却できるのでしょうか? 結論から言えば、売却可能です。ただし、条件があります。

◆住宅ローンのある家を売るには:抵当権を外さないと売れない

住宅ローンが残っている間は、融資を行った金融機関が抵当権を設定しています。抵当権とは、融資を行った金融機関が、融資をした相手の財産を担保とするものです。万が一、借金の返済が見込めない場合、その担保(住宅ローンの場合は、融資した物件)を差し押さえて売却し、貸金の回収ができる権利です。つまり、ローンが1円でも残っていると、その家は完全にはあなたのものではありません。そして、抵当権がある限り、お金を借りている側は、金融機関に断りなく担保不動産を売却することができません。

◆結局、この家は売れるの?売れないの?

1)売却額>残債であれば問題なし

では、抵当権を外すためにはどうすればいいのでしょうか。それは残っている住宅ローンを全て返済すればいいのです。借金を全部返せば、抵当権も抹消できるので、持主の意思だけで自由に売却することが可能になります。

2)売却額<残債の場合…差額を用意できれば売却可能

問題は、家を売ったお金で住宅ローンの残債をすべて返済できないときです。この状態のことをオーバーローンと言います。この場合は原則、ローンと売却額との差額を用意しないと、売却することはできません。ただし、不動産の売買には、仲介手数料や抵当権抹消費用などがかかりますので、通常売却の際は、その費用も別途用意しなければなりません。

残債3000万円の家を売却する場合の諸経費の計算例:
仲介手数料約103万(消費税8%時)+司法書士費用約2~5万+印紙代1万など

上記の場合、差額に加えて約100万円あまりの準備が必要なのです。

『差額や手数料まで用意できない!』そんな場合の対処法

◆オーバーローンの家を売却する方法

では、オーバーローン状態の家を売るには、どうすればいいのでしょう?ここでは、以下の三つの方法をご紹介します。

1)高く売れる工夫をする、差額を預貯金で用意する

自宅は、住んでいる人には慣れた環境ですので、その傷みや汚れ、不具合は気にならないものです。しかし、これから家を買う側にとっては、初めての環境です。

みなさんも初めて訪問した家の汚損、臭気、明るさ等は気になるはずです。想像してみてください。数千万もの大金をかけて、一生に何度もない自宅を買うために見に行った先の家が、掃除も行き届かず、足の踏み場もないような家だったら…。買うどころかすぐにここから去りたい、と思うはずです。

実際、当初は低い価格の査定だったのが、50万円ほどかけてハウスクリーニングと壁紙の取り換えを行った結果、見込み額より数百万高く売れた、という話もめずらしくはないのです。

しかし、どんな努力をしても、ローン残高が売却額に到底届かないケースもあります。その場合は原則、差額を預貯金などから用意しないと売却できません。

2)フリーローンなどの借り入れや親族の援助で差額を補填する

これは、ローン残高+諸費用‐売却代金、差額分を用意するものです。この場合、ローンが完済できるので、たとえ購入直後であっても売却には問題はありません。方法としては、預貯金、親族の援助や借用、フリーローンなどの借入が候補に挙がります。

なお、親族からお金を借りるときは、返済履歴が客観的に分かるようにし、利子も支払っていないと、贈与とみなさることがあるので、借用書などを作成して、定期的に返済しましょう。親族の援助が期待できない場合は、金融機関やノンバンクから借り入れることを検討します。

3)住み替え用ローンを利用する

家を売る理由が買い替えや住替えであれば、住替え用のローンを利用するという手段もあります。これは、前の住宅を売った残債を新しい住宅の購入資金を加えてローンを組み直すものです。借金総額が大きくなるため、資金計画に注意が必要ですが、売却理由がローンが苦しいわけではない場合、住み替えも選択肢に入ります。

住み替えローンの注意点:基本的に次の物件を決めたうえで審査に臨むため、今の家を融資実行までの、金融機関が定めた期間内に売却しなければなりません(ローン総額が決定しなければ、融資実行ができないため)。

多くは、販売会社とあなたとの間で買取保証(期日までに買い手がつかなければ、買取をしてもらう約束。買取では値段が下がるのが通常)をつけます。そのため、期限までに売却ができないと、思ったより借金が多くなります。

4)任意売却

『ローン支払いが苦しく、残債額が売却価格に到底足りそうにない。差額の用意もできない。』こんな時は、任意売却があります。

任意売却とは:担保割れのままでも売却ができる方法

任意売却は、これまで説明してきた通常売却とは違い、担保割れかつ差額を用意できないままで売却をします。金融機関にとっては、借金をすべて返してもらえていないのに、売却(抵当権の抹消)に応じるのは、イレギュラーな対応です。そのため前提条件として、住宅ローンが払えなくなっている、つまり滞納が必要となります。

例えば、住宅ローンの残債が2500万円あるのに自宅の市場価格が2,000万円。単純計算で残る500万円の用意ができない、という場合。任意売却は、その差額を用意せずとも金融機関との交渉で一旦売却に応じてもらい、残った債務は月々少しずつ、ローン返済よりはずっと少ない金額の支払いとしてもらいます。そんなことを金融機関が応じるのか? と聞かれますが、この仕組みは昭和時代からあるのです。

住宅金融支援機構は積極的に任意売却を案内している

任意売却は、フラット35を提供している住宅金融支援機構も積極的に案内しています。一部応じない先もありますが、ほとんどの民間の金融機関、都市銀行や地方銀行、信用金庫や農協(JA)も認めています。

住宅ローンは払いきれないが、愛着ある自宅を競売で処分されてしまうのは忍びない。表向き通常売却のような進め方で任意売却をしたい。という方は、早めに私どもにご相談ください。金融機関は、期日までに所定の返答や書類提出を確認できることで、任意売却に応じ、更には競売申立てに時間的な猶予を与えてくれることがほとんどです。

任意売却と競売を比較すると、任意売却に多くの優位性があります。何のサポートや情報もなく競売で立ち退きを迫られるのと、サポートを受けつつ有利な価格で売却するのとでは、生活再建にもかなりの違いが出るでしょう。困った時は、人の力を借りて再生を果たしていただきたい、と考えております。

住宅金融支援機構:融資住宅などの任意売却

 

任意売却119番