夫婦の衝突と住宅ローン破綻。任意売却と債務整理で再起した神戸市灘区の事例
住宅ローンの延滞が続き、家計の補填でカードローンに頼った結果、任意売却+債務整理で生活を立て直した事例です。
嫁ブロック(配偶者の反対)で決断が遅れたケースでも、金銭の流れを丁寧に設計すれば再出発は十分に可能です。
なお、任意売却の全体像を知りたい方は、「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- ・年間相談件数3,000~5,000件
- ・8割以上の方が相場に近い価格で売却に成功
- ・売却後の残りの返済額:月10,000円前後の方が多数
- ・くわしい経歴→「競売体験者」だからわかります
目次
夫婦の衝突と住宅ローン破綻。任意売却と債務整理で再起した神戸市灘区の事例
兵庫県神戸市灘区:A様(仮名)
職業:会社員(前職は自営) / 年齢:42歳 / 家族:妻・子ども1人
【マンション】住宅ローン残高:2,980万円 / 時価:2,350〜2,450万円
その他債務:カードローン320万円・事業用未払(外注費等)180万円・税金滞納70万円
延滞状況:住宅ローン6か月・カードローン3か月・納税一部滞納
相談の背景
A様は、神戸市灘区で家族3人暮らし。高校受験を控えたお子さんの教育費が増える中、もともと無理をして組んだ住宅ローンの返済が徐々に重くのしかかっていました。
数か月前から引落口座の残高が不足するようになり、延滞が続く状態に。
当初は自宅を手放すことを検討しましたが、奥様の強い反対、いわゆる「嫁ブロック」により決断を先送りにしてしまいました。
代わりに、まずはカードローンの任意整理を司法書士に依頼。
しかし住宅ローンの返済額はそのままで、しかもカードローンが使えなくなったことで日々の生活費が足りなくなり、家計はさらに逼迫しました。
A様はもともと自営業として働いており、売上の入金が遅れるとすぐに生活費や子どもの学費に影響する状況でした。
次第に外注費や税金の支払いも滞り、事業資金のやり繰りがつかなくなります。
結果、住宅ローンの滞納が半年を超え、ついに競売開始決定の予告通知を受け取りました。
もうこれ以上は先延ばしできないと覚悟を決め、奥様に家を売る決断を伝えたところ、激しい反発に遭いました。
それでも、A様は「このままでは誰も守れない」と考え、任意売却で自宅を手放すことを選びました。
解決にあたって重視したこと
- 競売回避を最優先:市場売却で価格を最大化し、引越費用も確保。
- 債務の全体最適:売却後に残る不足分と無担保債務を合算し、自己破産でリセット。
- 家族調整:感情的対立を避け、学校・通学動線を考慮した転居計画を同時進行。
任意売却による解決の流れ
| 項目 | 金額(概算) | メモ |
|---|---|---|
| 成約価格 | 2,430万円 | 反響を見て段階調整し上限で着地 |
| 仲介手数料・登記ほか諸費用 | 約170万円 | レインズ・広告・司法書士費用含む |
| 管理費・修繕積立金等の滞納清算 | 約20万円 | 引渡条件として清算 |
| 引越し支援金(債権者と協議) | 約10万円 | 生活再建の初期費用を確保 |
| 住宅ローンへ充当(抵当権抹消) | 2,230万円 | 金融機関の同意で配分 |
| 売却後に残った住宅ローンの不足分 | 約750万円 | 残債は無担保債務へ移行 |
売却時点の無担保債務合計:住宅ローン不足分 約750万円+カードローン320万円+外注費180万円+税金滞納70万円 ≒ 約1,320万円
- 最終判断:弁護士と協議のうえ自己破産を選択(免責許可)。
- 生活改善:家賃を抑えたエリアに転居、固定費の最適化と再就職で家計を安定化。
売却活動はこう進めた
任意売却の依頼を受けてから、まず行ったのは現地調査と価格の見極めでした。
A様のマンションは、JRと阪急の2路線が利用できる駅から徒歩10分以内という立地の良さがあり、灘区の中でも人気のエリアに位置していました。
管理状態も良く、共用部分の清掃や修繕履歴もしっかりしていたため、売却の条件としては悪くありませんでした。
ただし、販売を急ぐ任意売却では、通常の売却のように「じっくり時間をかけて高値を狙う」という戦略は取れません。
債権者の了承期限もあったため、最初は査定上限に近い2,580万円で販売を開始し、反響を見ながら段階的に価格を調整していく方針を取りました。
ポータルサイトや不動産流通ネットワーク(レインズ)への掲載に加え、周辺の不動産会社にも情報を共有して「共同募集」という形をとりました。
週末には現地内覧会を開催し、実際に生活動線を体感してもらう工夫も行いました。
特に子育て世帯が多い地域だったため、「学区の良さ」や「駅近の利便性」をしっかりアピールすることで、購入希望者の関心を集めることができました。
また、内覧時には生活感が強く出ないように、室内の小規模な片付けやハウスクリーニングを実施。
さらに、購入希望者がリフォームを前提に検討しやすいよう、簡易的なリフォーム見積書も提示しました。
こうした準備が功を奏し、販売開始から約1か月で購入申し込みが入り、最終的に2,430万円で成約となりました。
売却価格は当初想定よりやや下がったものの、市場相場としては十分に健闘した結果です。
決済までの間も、管理組合や債権者との調整を並行して行い、競売に移行する前にすべての手続きを完了できました。
任意売却を終えたA様のご感想
正直、あの時はもう限界でした。延滞が続いても、妻にはずっと本当のことを言えなかったんです。
でも、競売の通知が届いた時点で、もう隠しようがなくて。覚悟して打ち明けたら案の定、発狂に近い反応でした。
夫婦関係は一時的に冷え込み、食事も別々。何を言っても“あなたのせいで”の一点張りで、正直もう心が折れそうでした。
嫁ブロックという言葉がありますけど、うちはまさにそれ。売る決断をするまでが本当に一番つらかったですね。
自己破産って聞くとネガティブな印象を持つ人も多いと思います。
でも、僕にとっては“リセットボタン”みたいなものでした。ローンに縛られず、やっと普通の生活が戻ってきた。
子どもの進学費用も何とか出せたし、今はあの時の判断が間違ってなかったと心から思います。
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配偶者の反対、税金滞納、事業の未払が絡む複雑ケースでも、任意売却で価格を最大化し、売却後の債務整理まで視野に入れると再建ルートが開けます。
まずは現状を整理し、可処分所得の見込みから無理のない道筋を一緒に設計しましょう。
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