離婚後、養育費と住宅ローンの支払いがあり、生活できません。
私は、元夫側です。離婚後、養育費に慰謝料、住宅ローンの支払いまであり、自分の生活ができません。
元妻の元には未成年の子どもが二人いて、家のローンは私の名義です。
元妻からは、難癖のような離婚理由を突き付けられたうえ、調停となりました。結果、私は自分名義の家に帰ることもできず、アパートを借りて独り暮らしです。
しかも離婚成立後は、僅かとはいえ慰謝料、養育費、住宅ローンまで私が支払い、元妻と子供たちが家に住むのです。とても納得できるものではなかったのですが、調停員の方の勧めもあったこと、元妻と会うことも嫌になってきたので応じてしまいました。
誤算は、離婚後は家族手当てがなくなったこと、昇給がなくなったこと。そしてボーナスまで消えたことです。せめて養育費を減らすか家を明け渡して売却させてほしいと要求していますが、どちらも認めてくれません。
しかも相手は、離婚時に交わした離婚公正証書があるため、いつでも私の給与の一部を差し押えることができます。
話し合いにならないうえ、将来の見通しも立たない今、私はどうしたらいいのでしょうか。
相談担当より:
養育費に関して公正証書を交わしていた場合、支払わなければ妻から給料や資産の差し押さえを迫られることになります。
また、住宅ローンを滞納したままでいると住宅ローンを貸している金融機関(以降、債権者と表記します)は、担保になっている不動産を差し押さえ競売の申し立てをします。
競売で落札されてしまうと、離婚協議で家に住めることを約束されていた妻子も強制退去させられてしまいます。
こうしたトラブルを回避するには、以下の2つの方法が考えられます。
1)住宅ローンのリスケジュールを金融機関に相談する
2)思い切って住宅を売却する
アンダーローン(売却価格>残債)であれば普通売却
オーバーローン(売却価格<残債)であれば任意売却し、残債を無理のない金額で返済していく
1)住宅ローンのリスケジュールを金融機関に相談する
リスケジュールとは、住宅ローンを貸している金融機関がローン申込人(以降、債務者と表記します)からの相談を受け、返済計画の見直しに応じることです。
債務者は住宅ローンが滞る前に、毎月の返済額の減額や返済期間の延長など金銭的負担を軽くするための相談ができ、以下のような可能性があります。
返済期間の延長(期間が延長されればそれだけ支払額も増額します)
ボーナス月に設定した返済額の減額
毎月の返済額を減らす
当面は利息だけを支払う
リスケジュールは任意売却以外の選択肢ですが、滞納前でまだ支払っていけそうな方や、お金を都合できそうな方のためのものとお考えください。
支払いを先延ばしにした分、返済額や期間が増えて金銭的にも精神的にも負担が大きくなることを忘れてはなりません。
リスケジュールの審査としては、年収、勤続年数、これまでの返済状況、今後の収入と支出のバランスなどを考慮し、検討されることになります。
必要書類としては、収入証明書(給与明細や源泉徴収書など)と支出のわかる書類、支払いが困難な現状と将来の見通しを説明した文書、そして返済可能な金額とスケジュールがあれば大丈夫でしょう。
必ず了承を得られるとは限りませんが、支払い困難な現状を包み隠さず申し出、誠意を持って代替え案を提示することが大切です。
払えなくなってから慌てて相談に行くのと、そうなる前に積極的に返済額の見直しを提案するのとでは、債権者の印象も違ってきます。
早めの相談と誠意ある対応が、リスケジュールの成功のカギであるとお考えください。
2)任意売却で住宅を処分し、残債を無理のない金額で返済する
住宅ローンを滞納するようになった時の、もうひとつの解決策として、任意売却という方法があります。
任意売却とは、住宅ローンを滞納した債務者が競売という法廷措置をとられる前に、任意売却の専門業者を介し評価額に近い金額でローンが残っている住宅を第三者へ売却する手法のこと。
任意売却ならローンの残額が売却価格を上回っていても、無理のない返済計画で毎月支払っていくことが可能になります。
自分の意思で行える任意売却は、強制的な競売より高く売れる可能性が高く、引越しの費用も債権者との交渉次第で売却代金の中から配分してもらえる可能性があります。
また残った返済分も、負担の少ない支払いとなるよう減額(債務圧縮と言います)されるケースもあります。
さらに任意売却にかかる売却費用は原則、多額の現金を用意する必要はありません。また、私どもは相談料やカウンセリング料といった名目で別途費用を求めることもありません。
債権者である金融機関側も時間や手間、費用が掛かる競売より、市場に近い価格で売れる任意売却を選択する傾向にあります。
いざという時に債務者と債権者の双方にメリットのある任意売却という手法を、積極的に活用できるよう普段から知識を蓄えておきましょう。
まとめ
離婚時はできるかぎり、名義人が不動産の処分について主導権を握ることができるようにしておきましょう。
家が自分のものなのに、自由に扱えないリスクは、かなり高いものとなります。
まずは、住宅ローンのリスケジュール。
但し、結果として返済額と返済期間が増えるというリスクもあることを心得ておくこと。
次に、売却。
対象不動産がアンダーローン(売却価格>残債)なら、売却したお金で住宅ローンが完済できる普通売却。
対象不動産がオーバーローン(売却価格<残債)なら任意売却という方法があります。債権者との話し合いで、無理のない返済計画に沿って、残債を払っていくことが可能となるケースが多くを占めます。
なお、売却額とローン残高の差額を売却時に現金で用意できるならば、通常売却できます。