税金滞納による公売申立て相談が増加中
新年度を迎えてしばらく経つと、相談が急増します。それは、固定資産税などの地方税滞納によるお問合せです。新年度を迎えた役所が一斉に動き始める時期と重なるようです。
なかには、住宅ローンを滞納した覚えがない、あるいはそもそも住宅ローンがないのに差押えを受けている、といった相談です。これは、税金の滞納により差押えを受けている場合がほとんどです。固定資産税、国民健康保険料、事業者の代表であれば、法人税や消費税など。
租税滞納による差押えは、競売と違って公売となります。競売も公売も仕組みはほとんど同じですが、公売のほうがより多種多様なものが差押えになっています。車や家財、骨とう品などの動産類もよくYahoo!オークションで、せりにかけられているのを見かけます。
さて、この競売や公売を回避できる方法はあるのでしょうか?もちろん、イエスです。ここでは、不動産の強制執行である公売についてお話します。
競売・公売を避ける方法:
1)債務を完済(全額納付)する
2)取り下げを目指して、任意売却をする
実は、公売でも任意売却できることがあります。
自治体の税収は落ち込む一方なので、その対応や取り立ては厳しくなっています。なかには故郷の空家の年2万円もない固定資産税を5年納めずにいたら、東京の勤務先に管轄自治体の係員が訪ねてきた、という話もあります。
納税は国民の義務であるためか、破産しても税金は消えません。滞納をしていると、延滞税が容赦なく加算されていきます。実は、住宅ローンより優先すべきは、税金なのです。その優先順位を間違うと、経済的な立て直しが難しくなります。
任意売却で滞納している税を完済する、または残りを分納交渉をすることもできるでしょう。自治体によって対応はさまざまですが、その交渉は一緒に、あるいは委任を受けて私どもが対応することもあります。
【ワンポイントアドバイス】
公売を避けるコツ:分納交渉をし、怒らない
公売にかかった人のお話を伺うと、『役所の人間をケンカした。あいつら、人の事情も関知せず”払え、払え”ばかり言いやがって!』と毒づく方がいらっしゃいます。そして『嫌がらせだ!』『家を取り上げられた!』と憤るのです。
これは大きな誤解です。役所の方が税金の納付を求めるのは、公務員として業務の一環です(役所の肩を持つわけではありません)。実際、役所へ私どもが交渉に伺うと、「あの方(所有者)、本当に困ります。役所に乗り込んできては、怒鳴り散らして周囲の雰囲気を悪くします。こちらは分納にも応じたのですが、約束を守っていただけず、致し方なく回収窓口に管理を移したのです。」などと言われることがあります。
任意売却も競売も交渉ごとです。お金と物件を介していますが、対応するのはすべて人です。払う義務を果たせないことは起きうると思います。ただ、払えない理由は相手にとっては、“当然”ではないのです。
自宅や不動産を失いたくない、あるいは売るなら有利な価格で売却したい、でも契約や約束が守れない…その場合、あとは誠実で粘り強い姿勢と情報収集が重要です。