離婚と連帯保証人:任意売却までにできる対応とは?
離婚と任意売却の相関図
離婚をきっかけとした任意売却相談は、全体の7割前後はあると言っていいでしょう。あとは転職による減収、年金生活突入による支払い不能が目立ちます。
他人となっても続く責任
家を買うときは、気分が高揚するものです。離婚を視野に入れて家を買う人がいれば、かなりの少数派でしょう。「共働きなら共同名義名義にて、住宅ローン控除をダブルで受けましょう。」「収入合算すれば、こんなにローンを借りられますよ」と聞けば、一生に一度の買い物、せっかくだし…と判断が緩くなるのも無理もないことです。
また、所得が伸び悩んでいる昨今であるため、夫の単独名義では住宅ローンが組みづらい、連帯保証人が必要、ということはざらにあります。特に地方銀行や信用金庫など、地元密着型の金融機関は、単独名義でも家族が連帯保証人に入っていることが多いと言えます。
不動産所有の鉄則は、「単独名義」「単独債務」です。これが一番のリスク回避になります。万が一、離婚となっても家の責任は原則、所有者(債務者)だけのものです。離婚することになった際も、配偶者側がその物件を買い取る形でローンを組むことも比較的容易です。これは、配偶者に所有権やローン責任がない場合、新規の住宅ローンとして審査を受けられる可能性が高まるからです。
ところが、共同名義であったり、ローンが連帯債務だとそうはいきません。共有名義をどちらかにまとめるのは、かなり難しいのです。二人で負うことで認められた融資を、一方だけの責任にするのは、金融機関にとってリスクが高まるばかりです。応じたくない、これが本音です。
連帯保証人の自覚は薄いのが常
共有や連帯債務は不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)を見れば分かるので、判断に迷うことはありません。問題は、連帯保証人です。金銭消費貸借契約(金消契約)書を確認しなければ分かりませんし、連帯保証人になった認識が本人にもないことはよくあります。「形ばかりのこと。」「家族だから保証人になるのは当たり前のこと。」と言われ、応じてしまった、ということが多いのです。
連帯保証人はお金を借りていないにもかかわらず、借りたのと同じ責任を負う立場です。
任意売却をする際は、主債務者の同意は当然ですが、連帯保証人の同意も必要となります。「(残った)借金を一緒に払います」という意思表示が必要であるためです。
連帯保証人の解消には、3つの策があります。
・売却時にローンを完済する
・住宅ローンを借り換える際、保証人なしにする
・他の人に連帯保証人を代わってもらう
離婚時に連帯保証人を外すには、「売却時に完済」「借り換えて保証人なし」「誰かに代わってもらう」の三策が一般的です。ただし、簡単な手続きではありません。