任意売却は一般媒介契約でも専任媒介契約でもOK?

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- 宅地建物取引士
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一般媒介契約では真剣に販売活動してくれないのか?
任意売却を検討しており、銀行からは「一般媒介契約でも任意売却は可能」と聞きましたが、とある不動産会社に相談したところ一般媒介契約では応じられず専任媒介契約なら受けられるとの回答でした。一般媒介契約で多数の不動産会社に依頼した方が売れやすいと思うのですが、専任媒介契約じゃないといけないのでしょうか?
任意売却の場合、原則『専任媒介契約』を締結します。これは、債権者との交渉窓口の一本化と、複雑な手続きを円滑に進めるため、実務上不可欠であるためです。銀行が「一般媒介でも可能」と回答するのは、法律上の契約形態としては可能という意味ですが、不動産会社が実務で受けるには非常にリスクと負担が大きいため、専任を求められます。
媒介契約の種類
不動産業者に売買の仲介を依頼する場合は、媒介契約を締結します。
媒介契約には、三種類あり、通常売却であれば売主(所有者)が選ぶことができます。
1. 専属専任媒介契約
- 契約は一社としかできず、売主は自分で買主を探すことができない
- 1週間に1度以上、売主に販売活動状況を報告する義務がある
- 5営業日以内に不動産流通機構(通称レインズ)に登録する義務がある
2. 専任媒介契約
- 契約は一社としかできないが、売主は自分で買主を探すことができる
- 2週間に1度以上、売主に販売活動状況を報告する義務がある
- 7営業日以内に不動産流通機構(通称レインズ)に登録する義務がある
3. 一般媒介契約
- 複数の不動産会社と契約することができ、売主が買主を探せる
- 売主に販売活動状況を報告する義務はない
- 不動産流通機構(通称レインズ)に登録する義務はない
任意売却で『専任媒介契約』が実務上必須となる3つの理由
任意売却は、単なる不動産の売買ではなく、「交渉」と「手続き」が主となるため、下記の理由から(専属)専任媒介契約を交わします。
(1)債権者との窓口を一本化するため(債権者の意向)
任意売却は、貸出先のローン会社や金融機関(債権者)との緻密な交渉と書類のやり取りが必要となります。
一般媒介で複数の不動産会社がそれぞれ債権者へ連絡を入れると、情報が錯綜し、手続きに遅延が生じる、あるいは最悪の場合、債権者が交渉を打ち切るリスクが発生します。
交渉や指示の窓口を一本化するという意味で、専任媒介契約あるいは専属専任媒介契約の締結が必須となります。
(2)個人情報とプライバシー管理のため
媒介契約を交わすと、債権者は媒介先の不動産業者に対して債務者の個人情報を開示します。
任意売却は、事情を抱えて自宅を売却するケースがほとんどであり、プライバシーを守る意味でも、個人情報を開示する先を信頼できる一社に限定することが適切です。
(3)交渉・手続き・販売活動を並行して行うため(最も重要)
任意売却の難しさは、単に買主を見つけることではなく、以下の複雑な要素を「タイムリミット内」で並行して行わなければならないことに尽きます。
- 債権者との売却条件の交渉
- 差し押さえ(差押え)の解除に向けた交渉・手続き
- 連帯保証人、相続人など関係者全員の合意形成
- 税金滞納など他の問題解決
一般媒介契約のように販売活動のみに注力すればよい取引とは異なり、上記のような複雑な交渉と手続きに時間と労力を割かなければなりません。
そのため、責任を明確にし、集中的に業務を遂行できる専任媒介が不可欠なのです。
任意売却を成功させるために最も重要なこと
任意売却において本当に重要視すべきは、「一般か専任か」という契約の形式ではなく、「信頼できる不動産会社を見極めること」です。
複雑な交渉力と専門知識を持った一社に(専任媒介で)依頼することで、手続きの遅延を防ぎ、債務者様の将来の生活再建を含めた最善の結果を目指すことができます。
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