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競売開始決定通知書が届いた後でも任意売却できるがハードルは上がる

結論から申しますと、競売開始決定通知書が届いても任意売却をする期間はまだ残されています。

ただし、任意売却において競売開始決定前と後では、後のほうが確実に『ハードルが上がる』のです。

なぜなら、競売の手続きがすでに裁判所で進み始めているため、金融機関(債権者)も慎重な対応を取るようになるからです。

この章では、

  • 競売と任意売却が同時に進行している期間の状況
  • 債権者である金融機関の立場と考え方

を整理しながら、「今あなたがどの位置にいるのか」を客観的に理解できるよう、わかりやすく解説します。

なお、任意売却の全体像を知りたい方は、「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

富永順三
  • この記事の監修者
  • 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
  • 大手企業、経営コンサルタント、阪神大震災復興支援NPО、経済振興財団、企業再生・М&A会社等を経て現職。中小零細の事業支援実績が認められ04年に中川大臣(故)より”経済産業大臣賞”を受賞。
  • くわしい経歴→「競売体験者」だからわかります

競売開始決定通知書とは

担保不動産競売開始決定通知書

「競売開始決定通知書(正式名称:担保不動産競売開始決定通知書)」とは、裁判所が「この不動産を競売にかけます」と正式に決定したことを知らせる書類です。

この通知書には、事件番号(元号・種別・番号)や、どの裁判所で手続きが行われているのか?どの不動産が差押えを受けたのかといった基本情報(概要)が記載されています。

ただし、詳しい内容までは書かれておらず、あくまで関係者に知らせるための通知です。

通知が届くのは、物件の所有者や住宅ローンの債務者、実際にその家に住んでいる居住者などです。

また、賃借人(借りて住んでいる人)や相続人の場合は、この通知書を受け取って初めて「自分が住む不動産が差押えになった」と知るケースもあります。

なお、法務局で取得できる不動産登記事項証明書(登記簿謄本)にも、競売開始によって対象不動産が差押えになったことが正式に登記(記録)されます。

関連記事:任意売却と競売の違いは?流れや期間・メリット、デメリットを比較

競売開始決定通知書が届いた後の流れ

では、競売開始決定通知書が届くと、どのように競売が進み、いつ立ち退きを迫られるのでしょうか。

競売にかかる期間は、開始決定通知から早くて約4ヶ月、平均的には6カ月程度です。

それまでの流れを段階ごとに説明していきます。

現況調査票が届く

現況調査票

競売開始決定通知書の次に「不動産の現況調査について」(“お知らせ”あるいは“連絡書”といった書面もあります)が届きます。

これは、裁判所の執行官室が発行しています。

内容は、“競売対象となった不動産へ執行官らが訪問するため、関係者の立会いをお願いします”というものです。

現況調査の目的は、競売資料となる評価書などを作成するためです。

不動産の現況、つまり

  • 居住者はだれで利用目的はどんなものか?
  • 建物の不具合などはないか?
  • 周辺の環境はどうか?

などを確認します。

現況調査の際は、裁判所の執行官と不動産鑑定士が一緒に訪れます。

なお、物件立ち入りを拒否することはできません。

物件の現況調査が行われる

執行官と不動産鑑定士による調査風景

現況調査の際は、2~3名の職員が競売にかかった不動産へ直接やって来ます。

裁判所の執行官と不動産鑑定士の2名であることが多いのですが、なかには3名程度で来訪を受けることもあります。

現況調査では、不動産の利用状況や不具合、周囲の環境などについて、その物件の居住者など立会人にインタビューしていきます。

並行して室内外の各部分を撮影していきます。

追って公開される評価書には、駐車場にある車のナンバープレートなど、一部はマスキング(目隠し)作業を施してくれますが、物件の内外のおおよその状態が分かるように掲載されています。

現況調査の所要時間は約10分程度です。

敷地が広い、あるいは大きな建物である場合でも、長くて30分ほどのことが多いようです。

経験則ですが、執行官は気さくな方が多く、質問をすれば、分かる範囲で回答してくれます。

執行官から任意売却を教えられた、という相談者もいます。

なお、現況調査を断ることはできません。

民事執行法に基づき、立ち入り調査が可能であるためです。

居留守を使おうが、不在にしていようが、2回目の訪問で執行官は、解錠業者を同伴しています。

なお、現況調査時に不在の場合は、近隣の人に「最近、この物件の居住者を見ていないか?」といったことを聞いて回りますので、それがきっかけで自宅などが競売にかかったことを知られることもあります。

プライバシーの観点からも現況調査の際は在宅し、調査に協力しておくほうがいいでしょう。

競売の期間入札の通知書が届く

現況調査から1~数か月後に「通知書」が届きます。

この書面には

  • 入札期間
  • 開札日
  • 売却基準価格

などが記載されています。

この書面が届くと、任意売却できる期間が残りわずかとなっています。

書面には、所轄裁判所によって記載事項は異なりますが、以下の案内があるでしょう。

  • 入札期間
  • 開札日
  • 売却基準価格と買受可能価格(記載が別途の場合もある)

任意売却できる期間は、入札期間の少し前までがタイムリミットです。

ただし、最後の郵便である「通知書」が届いてから、任意売却の手続きに入っても間に合うことがあります。

しかしそれは、ラストチャンスだと考えた方がいいでしょう。

その理由は、競売入札期間直前で任意売却が成立した場合、多くの金融機関が入札開始日の2週間前までに連絡を求めているためです。

完済できる場合以外は、任意売却であるため、金融機関は任意売却の内容について審査をします。

結果、任意売却の許可が出ると、金融機関には裁判へ競売取り下げの手続きをしてもらわなければなりません。

金融機関の担当者としては、そこまでの骨を折りたくない、という方もいますので、あまりに直前の任意売却成立だと、門前払いを受ける可能性があります。

公告が行われる

物件明細書

入札期間が迫ると、管轄裁判所にて競売の資料である「期間入札の公告(いわゆる三点セット)」が閲覧できるようになります。

この資料(3点セット)は、現況調査報告書・評価書・物件明細書で構成されています。

管轄家庭裁判所の閲覧室に設置され、通称ビット(ビーアイティー。略してBIT)と呼ばれる、不動産競売物件情報サイトに公開します。

引用:BIT 不動産競売物件情報サイト

競売も公正明大な裁判の一種であるため、誰でも裁判所やインターネット上でその内容を閲覧することができる状態となります。

なお、滞納している債務を元金や遅延損害金、競売申立費用含めて完済できる場合は、開札日の前日までならば、競売の取り下げが可能です。

カードローンやその他の割賦金の滞納で競売にかかっている場合は、直前でも買取り対応などで競売取り下げに間に合うことがあります。

競売の入札が開始

「期間入札の公告」が出されると、いよいよ実際の入札期間を迎えます。

入札期間はおおむね1週間ほどです。

入札に参加するには、まず売却基準価格の2割を保証金として納め、「入札書」など必要書類を裁判所の執行官室に提出(郵送も可)します。

入札期間中にまだ住んでいるケースも

買受人(落札者)が決まる前であれば、

  • 落札者と直接話してから退去したい
  • 入札が入らないことを祈っている

という理由で、競売にかかった不動産に住み続けている人も少なくありません。

この段階ではまだ所有者のままなので法的な問題はありませんが、落札(売却許可)が決まると、明け渡し期日が急に決まることも多いため、早めの準備と覚悟が必要です。

任意売却できる期限は限られている

任意売却(売却しても住宅ローンが残るケース)の場合、多くの金融機関では入札期間の約2週間前までが交渉の目安です。

一方、ローンを完済できる場合は、開札日の前日まで競売を取り下げられるケースもあります。

そのため、入札開始の1〜2か月前を過ぎると任意売却は非常に難しくなるのが実情です。

任意売却が間に合わなかった場合、手続きは次のように進みます。

開札 → 売却許可決定 → 代金納付 → 所有権移転 → 物件明け渡し

一部のケースでは、落札者とのリースバック(住み続ける契約)や買戻しの相談に対応できることもあります。

ただし、競売での落札は運に左右される「イチかバチか」の要素が強く、任意売却のほうが圧倒的に確実で、精神的負担も軽いです。

関連記事:任意売却のご相談・ご依頼の方法

競売にかけられると自宅はどうなる?

競売の開札が行われ、落札者が代金を納付すると、自動的に(職権で)所有権の移転登記が行われます。

この時点で、元の所有者には一切の権利がなくなり、「占有者」となります。

所有者から占有者へ

落札後は、元の所有者であっても居住権などを主張することはできません。

新しい所有者(買受人)から「明け渡し請求」を受けた場合は、原則としてそれに従う必要があります。

6ヶ月程度で強制的に退去

競売開始決定から入札期間に至るまでの平均的な期間は、4カ月から6か月程度です。

これは、裁判所内での手続きによって異なり、もう少しかかる時もあります。

昨今は、裁判所の手続きもスピード化が図られ、迅速な競売処理が行われるようになってきています。

落札までたとえ半年の時間があったとしても、任意売却をする場合は、決して余裕があるわけではありません。

競売が並行している任意売却は、以下の段階があります。

  1. 債権者との交渉
  2. 売却活動
  3. 買手の出現と資金調達(買い手がローンを使う場合は2カ月程度必要)
  4. 各債権者への配分調整と各社内での審査(1-2週間程度)
  5. 売買契約と引渡し準備(2週間から1カ月程度)
  6. 決済と競売取り下げ

これだけのステップが必要であるならば、数日や数週間で解決できるわけではないことをご理解いただけるでしょう。

なお、債権者が競売を取り下げるのは、不動産の売買成立が明確になった場合のみです。

裁判所は一旦強制執行(競売)に着手すると、粛々と手続きを進めるため、任意売却が進行していようが関知しません。

競売は強制執行であるがゆえ、裁判所に「もう少し待ってくれれば任意売却できるので、入札期間を次回に延ばしてほしい」といった要望は、一切通りません。

競売は相場よりも低い価格で売却されてしまいがち

任意売却と競売の価格差を図解

引用:ABCテレビコロナで収入激減・・・深刻!!急増する住宅ローン破綻の実態

任意売却のメリットのひとつに「競売に比べて高く売れる」という点があります。

これは、購入者が自宅用や自己使用を目的に購入することが多いためです。

一方、競売の落札者の多くは不動産業者です。彼らは転売を目的として入札するため、

  • リフォーム費用
  • 再販売時の利益

を見込んで落札価格を低く抑えるのが一般的です。

その結果、競売では市場価格より3~4割安い価格で落札されるケースも珍しくありません。

高値で落札されるケースもあるがごく一部

たとえば、都心部の人気エリアや交通アクセスの良いマンションなどは、複数の入札者が競い合い、想定以上の高値で落札されることもあります。

しかし、それはあくまでごく一部のケースに過ぎません。

全体として見れば、やはり競売は安く売却されやすい仕組みなのです。

競売は時間がかかる=遅延損害金が増える

もうひとつ、競売で見落としがちなデメリットが「遅延損害金(延滞利息)」の加算期間が長いという点です。

任意売却なら、競売にかかる前に市場で売却できるため、その分だけ遅延損害金の発生期間を短く抑えられます。

遅延損害金の金額は想像以上

遅延損害金は、住宅ローンを滞納した時点から発生します。

その率なんと、年利14.6%(14%の場合もあります)。

計算式は次のとおりです

ローン残高 × 遅延損害金の年率 ÷ 365日 × 延滞日数

たとえば、ローン残高が1,000万円の場合、1日あたり約4,000円の遅延損害金が発生します。

3,000万円の残高なら、1か月で約36万円も借金が増えていく計算です。

競売に進めば、これに競売申立費用や手続き費用が上乗せされ、最終的に驚くほどの負債額となってしまうのです。

任意売却なら「高く・早く・損害を最小限に」

任意売却であれば、

  • 市場価格に近い価格で売れる
  • 売却時期を早められる
  • 遅延損害金の加算を最小限にできる

このように、金銭的にも精神的にも負担を軽くできるのが大きなメリットです。

将来を考えるなら、競売に委ねるよりも早期の任意売却を選ぶほうが、確実でリスクが少ない選択といえるでしょう。

競売にかけられる前に任意売却するのがおすすめ

任意売却は「競売が始まる前」が理想

任意売却の相談を受ける富永順三

引用:夢のマイホームにコロナが直撃・深刻急増する住宅ローン破綻

任意売却は、本来であれば「競売開始決定通知」が届く前に手続きを終えておくのが理想です。

遅くとも、保証会社や債権回収会社に債権が移る前に申し出ておくことで、競売の申立てを一時的に猶予してもらえる可能性があります。

債権者にとってもメリットがある

実は、任意売却は債務者(住宅ローンの借主)だけでなく、債権者(金融機関)にもメリットがあります。

なぜなら、任意売却が成立すれば、

  • 競売のように裁判所手続きを行う必要がない
  • 手間や費用をかけずに回収できる
  • しかも競売よりも高い金額で回収できる可能性が高い

このように、双方にとって負担の少ない解決方法なのです。

債権者も「連絡の取れる誠実な債務者」に対しては柔軟に対応することが多く、任意売却を提案すれば話し合いの余地が十分にあります。

条件交渉ができるのも任意売却の強み

任意売却では、債務者の状況に応じてある程度の希望を交渉することも可能です。

たとえば、

  • 引っ越し費用の一部を考慮してもらえる
  • 残ったローンの返済ペースを相談できる

といった柔軟な対応を受けられるケースもあります。

競売では一切交渉ができませんが、任意売却なら人間的な話し合いができるのです。

通常の売却に近い形で進められる

任意売却は、通常の不動産売却とほとんど同じ流れで行われます。

内覧・契約・引っ越しなども一般的な売却と変わらないため、「競売のように周囲に知られることがない」という点でも心理的な負担が軽くなります。

専門家のサポートで結果が変わる

引用:取材記録:テレビ朝日 スーパーJチャンネル「コロナ禍の任意売却」

任意売却を成功させるには、債権者との交渉やスケジュール管理に慣れた専門担当者のサポートが欠かせません。

私たちのように、任意売却に精通した専門家の支援を受けながら交渉を進めることで、より有利な条件での売却・生活再建が可能になります。

関連記事:任意売却の流れ

【 Q&A】よくある質問

Q.任意売却できる期限はいつまで?

任意売却ができるのは、競売の開札日前日までですが、これはあくまで理論値です。

一般に期間入札に入ると、債権者は完済できる場合を除き、競売取り下げ手続きをしません。

実務から言える任意売却ができる期間は、ほとんどの金融機関が指定する『期間入札開始日の2週間前まで』となります。

つまり、「競売開始決定通知」や現況調査の「お知らせ」、「期間入札通知書」が届いても、任意売却はできますが、その可能性は段階を追うごとに低くなっていきます。

時折、

  • 開札日前日でも任意売却に成功!
  • 3日で任意売却解決しました!

といった話がインターネットサイトに挙がっていますが、それはローンを全額弁済できた場合や、もともと担保債務がなく、物件を売り急げば成り立つ話であり、あまり一般的な例とは言えません。

Q.競売を取り下げてもらうことはできない?

一度決定した競売が、取り下げになることは本当にあるのでしょうか。

それは任意売却で債権者が納得する条件、つまり『差し押さえた不動産が、競売より明らかに高い値段で売却できる』場合です。

あるいは、競売費用を含めた借金すべての弁済が受けられるケースです。

BIT(不動産競売情報サイト)を見ていると、競売情報のなかには「取下げ」と赤字で記され、詳細が削除されている案件を散見します。

これらは競売の期間入札が決定したにも関わらず、任意売却をはじめ、競売以外の方法で解決され、取り下げとなっていることを示しています。

なお、競売の取り下げは申立人でないとできないため、任意売却の買い手が見つかってすぐ解決するわけではありません。

売買や弁済ができてはじめて取り下げとなるのです。

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