意外にトラブルの多い親子ローンや二世帯住宅
『同居するまでは、とても仲が良かったんです』
相談者:S佳さん(30代 埼玉県主婦)
状 況:夫との両親と同居することを提案したのは、S佳さんでした。「舅、姑とも仲が良かったんです。子どもの教育にも3世代同居がいいだろうし、親も一緒にいるほうが喜ぶだろう、私たちはうまくやっていける、と自信たっぷりでした。」
『ささいなことがストレスに…』想像と現実
S佳さんの提案により、古い両親の家を取り壊して、夫と舅の共同名義で二世帯住宅を建てました。プライバシーにも配慮した間取りにしつつ、行き来のしやすい構造としました。それが裏目に出たようです。お姑さんは気を利かせたつもりで、家事や育児を助けてくれましたが、S佳さんが次第に負担に感じ、プライバシーが維持できない、と思えてきて、関係がギクシャクしはじめたのです。
親子ローンの弊害が噴出
まず、二世帯住宅は一般に大きな物件であることが多く、水回り部分も多いため、建築費用が高いのです。当然、ローンも高額。建物の固定資産税や保険料なども高くなります。
もっとも厳しいのが出口戦略です。中古市場で二世帯住宅を探している人はごく少数であり、かなりの確率で店晒し(売れない)です。S佳さん一家は、土地がもともと舅さんのものなのでその分ローンは抑えられたものの、土地ごと売っても借金が残る状態でした。
家を売ってしまうと両親、S佳さん家族は別々の住まいを探すことになります。生活費も嵩むうえ、残ったローンの支払いもあります。S佳さんは、「広い敷地に大きな1軒家を建てず、2軒の戸建てを建てればよかった。そうすれば1軒の家だけ売るなり貸すなりできたのに。」と後悔しきりです。
《まとめ》
・親子ローンを単独にまとめるのは難しい(相続が発生した場合を除く)。
・二世帯住宅より二軒の独立した家を建てるほうがリスクヘッジになりやすい。