2025/11/12(公開: 2019/07/24)
【連帯保証人・主債務者】それぞれ住宅ローン破産した場合どうなる?
ご質問1:『住宅ローンの主債務者が自己破産すると、連帯保証人はどうなりますか?』
答え:その借金は、すべて連帯保証人が払うことになります。
ご質問2:『連帯保証人が自己破産した場合、主債務者や他の連帯保証人に影響ありますか?』
答え:主債務者(ローンを借りているご本人)が滞納せず返済していれば影響ないことが多いです。
今回は、上記のような状況になったら、どう対処すれば良いのかをお伝えします。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- 宅地建物取引士
20年の経験を持つ専門家が、解決策を無料でご提案します。
目次
住宅ローンの主債務者と連帯保証人はどう違う?
まずは、それぞれの立場の違いと、負っている責任についてお伝えします。
主債務者とは?住宅ローン契約の中心となる人
主債務者(しゅさいむしゃ)とは、住宅ローンの契約において「お金を借りる本人」のことです。金融機関に対して、毎月決められた期日までに、ローンの元金と利息を返済する一番の責任を負う人です。
住宅を購入した場合、主債務者が家の所有者(登記簿上の名義人)にもなっていることが一般的ですね。この主債務者がローンの滞納を続けたり、返済ができなくなったりすると、金融機関はまずこの主債務者に対して返済を求めることになります。
連帯保証人とは?主債務者とほぼ同じ責任を負う存在
連帯保証人とは、「主債務者が返済できなくなったときに、代わりに全額を返済する責任を負う人」のことです。多くの場合、収入状況などを理由に、金融機関からの求めで配偶者や親族がこの立場になります。
「保証人」と聞くと、少し責任が軽そうに感じるかもしれませんが、連帯保証人は主債務者と「ほぼ同じ責任」を負います。つまり、主債務者が返済を止めたら、すぐに金融機関から「あなた全額を返済してください」と請求されてしまうのです。責任の重さは、主債務者と同じです。
住宅ローンの主債務者が自己破産したらどうなる?
主債務者が自己破産した場合、連帯保証人への影響が最も深刻です。
- 一括返済の請求が来る:主債務者が破産手続きを始めると、連帯保証人のもとに「主債務者の代わりに、残っているローン全額(3,000万円など)をすぐに一括で返済してください」という一括返済請求書が届きます。
- 自宅の処分が進む:家は担保として競売(または任意売却)で処分され、住み続けられなくなります。
- 破産せざるを得なくなる可能性:連帯保証人が一括返済できない場合、残債を分割で支払う交渉をするか、連帯保証人自身も自己破産せざるを得ない状況に追い込まれます。
なお、住宅ローンの主債務者が自己破産した場合に連帯保証人も自己破産する割合は、およそ10人に1人程度(約10%程度)です。2023年度の日本弁護士連合会の調査では、「保証債務と第三者の債務の肩代わり」で自己破産した人の割合は10.54%と報告されています。この数字は、主債務者の破産に伴い連帯保証人が返済を肩代わりできず、破産に追い込まれるケースを示しています。
連帯保証人が自己破産を回避できるケース
一方で、連帯保証人が自己破産を回避できるケースもあります。
- 十分な資力がある: 連帯保証人に、一括請求された残債務を支払えるだけの貯蓄や資産がある。
- 個人再生の選択: 連帯保証人が自己破産ではなく、借金を大幅に減額して分割で返済していく「個人再生」など別の債務整理手続きを選択できる場合。
- 任意売却する:主債務者が破産したら家を任意売却し、残った借金を少なくして、連帯保証人が月1万円など分割で返済できるケース。
もし任意売却後の残債が200万円程度で、連帯保証人の方に毎月3万円〜5万円程度の安定した収入があり、無理なく返済できる見込みがあれば、自己破産をする必要はなくなります。
▶ 関連記事:任意売却後の残債はどうなる?払えない時の対処や時効について解説
連帯保証人が自己破産したらどうなる?
次に、主債務者は返済を続けているものの、連帯保証人が個人的な事情(事業失敗など)で自己破産した場合を考えてみましょう。
主債務者には大きな影響なし
連帯保証人が自己破産をして免責が認められた場合、連帯保証人が負っていた「保証債務」は消滅します。つまり、連帯保証人としての責任がなくなります。
しかし、これは主債務者が負っている返済義務には何の影響もありません。主債務者は引き続き、金融機関に対して住宅ローンを返済していかなければなりません。
連帯保証人がいなくなったことで、金融機関は「代わりに返済してくれる人がいなくなった」と見なし、主債務者への返済に対する監視が厳しくなる可能性があります。
新しい保証人を立てる必要はある?
金融機関は、保証人がいなくなったことに不安を感じるため、別の保証人を立てるよう要求する場合があります。
また、保証会社の保証に切り替えることを求められる場合がありますが、これには審査が必要であり、費用もかかります。
これらの対応ができない場合、最悪のケースでは、金融機関が「担保権を実行する」と言い出し、家を競売にかけて残債を回収しようとする動きに出るかもしれません。主債務者としては、返済を続けることに加え、金融機関との話し合いを迅速に進める必要があります。
主債務者・連帯保証人がともに破産した場合
主債務者と連帯保証人が同時に自己破産した場合、借金の問題は根本的に解決に向かいますが、代わりに家は確実に手放すことになります。
破産で借金は免責されても、家に設定された抵当権は消えません。金融機関は、担保物件である家を競売にかけて、ローンの残債に充当します。この処分が完了すれば、法的には借金の問題はすべて解決となります。
破産後の生活再建の流れ
破産後の生活再建の最大のメリットは、借金からの解放です。
- 新たなスタート:借金の取り立てがなくなり、精神的な負担が軽くなります。
- 引っ越し:競売や任意売却により自宅を手放すことになりますが、新しい住居で生活を立て直すことができます。
- 信用情報:破産後5年~7年程度は、信用情報機関に事故情報が残り(いわゆるブラックリスト)、新たな借り入れやクレジットカード作成が難しくなります。しかし、その期間を過ぎればまたローンを組むことも可能です。
自己破産前に任意売却を行うメリット
任意売却とは、金融機関(債権者)の同意を得て、競売ではなく、一般の市場で家を売却する手続きです。
破産前に任意売却を済ませるメリットは、たくさんあります。
| 任意売却 | 競売 | |
| 売却価格 | 高い(市場価格に近い)ため、残債をより多く減らせる。 | 安い(市場価格の5~7割程度)になりやすく、残債が多く残る可能性が高い。 |
| 費用の確保 | 債権者との交渉により、引っ越し費用や当面の生活費(20万円〜30万円程度など)を売却代金から確保できる可能性がある。 | 引っ越し費用や生活費は確保できない。 |
| 残債の交渉 | 売却後の残債について、無理のない範囲での分割払いを債権者と直接交渉できる。 | 債権者から一括請求されることが多く、交渉の余地が少ない。 |
特に、連帯保証人がいる場合、残債が減ることは連帯保証人にかかる負担を軽減することにも繋がりますので、非常に大きなメリットと言えます。
「競売にかけられた状態で自己破産したほうが面倒がなくていい」という方もいますが、実際は任意売却してから自己破産したほうが費用面、時間面、そして売却条件面で最も有利になりやすいです。
詳しくは「自己破産で家はどうなる?競売と任意売却の選択肢と正しい手続き」こちらをご覧ください。
関連記事
任意売却の基本的な仕組みなどは、こちらをご覧ください。
住宅ローンを払えない状況でも、今の家に住み続ける方法が、任意売却とリースバックを組み合わせることです。
詳しくは、こちらでわかりやすく解説しています。
LINE相談
メール相談
資料請求フォーム




