任意売却の無料相談 住宅ローンの滞納・競売・差押でお困りの方へ 今すぐ電話相談、面談相談をお受けします。

(67)所有者が行方不明の場合、任意売却はできるのか?

所有者と連絡がつかない場合の任意売却は、「本人不在のまま資産を売却できますか?」という質問に等しく、難しいと言わざるを得ません。
以下で検証したとおり、たとえ種々の法的制度を活用しても、「生きていると思しき人の意向が確認できないまま、その人の財産処分は法的な代理人を立てても困難である。」と言えます。


●「委任状」には限界がある
よく「親や配偶者、兄弟の所有不動産を売却したい。私は彼(等)から手続きを一任されており、委任状もある。」との申し出があります。結論から申せば、委任状のみで親族所有の不動産の売買はできません。まず、委任状は本人の代わりとはならず、たとえ物件の権利証(登記済証)や本人確認書類を提示されたとしても、です。

金融機関のみならず、不動産でも本人の意思確認は必要です。それは、法律で”無権代理”という言葉があり、これはその権利を持たない者が権利者のふりをして売買などをした場合、その者を本人と信じて行った契約行為は無効となるものです。無権代理を行ったことで他者に及ぼした利害については、その代理を行った者に損害の賠償をする責任があります。


●「本人不明」の状態とは
1.生死不明
2.所在不明
(3.意思能力不明)

1.生死不明
本人の家出や事故・災害などにより、本人の生死が分からない場合、法律上死亡したものとみなす制度として「失踪宣告」があります。

①普通失踪:不在者(居所が分からず、存在を確認することが困難な状態)で、その生死が7年間不明

②危難失踪:戦争、船舶の沈没、震災など危難に遭遇し、その危難後もその生死が1年間明らかでない

この上記の状態において家庭裁判所は申立てを受けて、失踪宣告をすることができます。

2.行方不明
行方不明(居所が分からず、音信不通)の状態とは、以下の状態を指します。
①本人と連絡が取れず、連絡先を調べる方法も分からない場合
行方不明者の本籍地の市区町村で発行する「戸籍の附票」を取得すると、本人の現在または最後に住民票登録した住所を確認できます。その住所地を訪ねたり、手紙を送るなどして消息確認を試みます。親族でこの方法が取れない場合、本人の所在確認の調査は弁護士や司法書士に委任することが可能です。場合によっては、興信所などに依頼することもあるでしょう。

②最新と思われる住所地に居ない場合で、生存していることを前提とする場合
家庭裁判所に「不在者財産管理人選任人選定」の申立てをします。申請や許可を経て、相続の場合、このの不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産分割することができます。管理人は不在者の利益を守ることが求められているため、少なくとも法定相続割合を配分し、裁判所に供託することが求められます。

ただし、任意売却における所有者が行方不明の場合の不在者財産管理人は、任意売却に応じることが不在者の利益になるかどうかの判断に慎重にならざるを得ないため、結果的に裁判の一種である競売での処分を優先する可能性があります。そのため、任意売却は事実上難しいケースが多くなります。


●失踪届の注意点:
・行方不明日をどう証明するのか
生死不明期間7年の要件は有名ですが、どの時点から行方不明になったかを誰にでも分かるようにしておくのは、たとえ日付入りの書き置きがあったとしても困難です。その日にいなくなった証明となるわけではありませんし、本人による筆跡か、なども立証できるかは不明です。そのため、警察への捜索願を提出しておき、消息が分からなくなった日を警察側に示してもらうのが最も適切な対応です。

・捜索願を出していない行方不明者の場合
捜索願を出していない場合、失踪宣告を受けられるかどうかは、管轄裁判所の裁判官の判断に委ねることになります。しかし、行方の分からない人と連絡が取れず、生死も不明を以って死亡していると見なすかどうか。
裁判所から求められれば、申立人は当時の状況を陳述書のような書類を作成して説明することになるでしょう。任意売却が絡む場合、失踪宣告ではなく、不在者財産管理人の選任を促される可能性があると思われます。

不在者財産管理人は、同じく行方不明者のための手続きですが、生死不明を要件としません。裁判所の命により音信不通の者の代理人となったものです。なお、まず始めに不在者の財産管理人の選任手続きを行っておいたのち、不在者財産管理人から失踪宣告の申し立てを行うケースもあります。


●行方不明者届(旧捜索願)と失踪届のそれぞれの意味

・行方不明者届(旧捜索願)の目的は人探し
捜索願は、行方不明者を探し出したい時に警察へ届け出るものです。捜索願は現在、「行方不明者届」となっています。平成21年『行方不明者発見活動に関する規則』によろ、名称が変更になりました。ただ、「捜索願」という呼び方が浸透しているので、ここでは「捜索願」としています。

家族の所在が分からなくなった際、警察への届け出は速やかに行いましょう。無事に戻ったり、所在確認ができた際は忘れずにその連絡もします。

・失踪宣告の目的は”死亡認定”
失踪宣告は、家庭裁判所がします。そのうえで発行されるものが失踪届です。行方不明者を法律上で死亡したことにするものです。失踪宣告を受ける際、「その人を探す」ことは目的ではありません。ありていに表現すると「探しても見つからないので、死亡したことにします。」という手続きです。

「消息不明の配偶者と離婚をしたい」「行方不明者の保険金を受け取りたい」「相続人に失踪者がいるため頓挫している相続手続きを進めてしまいたい」といった、諸手続き完了のために行われるものです。

家庭裁判所に失踪宣言が認めらた場合、失踪宣言確定後10日以内に「失踪届」を市区町村に提出します。受理されれば、失踪者は法的に死亡扱いとなります。失踪届は、失踪者の本籍地または届出人の居住地の市区町村に届け出ます。