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(48)養育費と住宅ローンの支払いで、私(夫)の生活が破綻しそうです

「子どものため」と離婚時に交わした約束の多くに、夫側が”養育費や住宅ローンを負担する”ということがあります。養育費は一般に子どもが大学を卒業する時点で終わりますが、住宅ローンはそれより長く続くことがほとんどです。特に『養育費代わりの住宅ローン負担』は、元夫婦間でその後に見解の違いが生じがちです。

※本章は、物件の名義とローンの債務者を夫とした場合を想定しています。 なお、当方は、各種ローンを支払いかねた方に対し、競売を避けての任意売却をサポートする窓口でございますので、本章の離婚時の約束の履行に関するご相談は承っておりません。


●『何とかなるだろう』は男性特有の考え方
離婚の際、養育費代わりの住宅ローンを負担する。これまで家族を養ってきたのだから、離婚で別生計になっても、ローンを払いながら自分の生活くらいはできるだろう、と思うのは早計です。住宅の維持にはローン以外にも費用がかかります。それは住んでいる元妻が負担するのでしょうか?

養育費代わりで住宅ローンを負担していても、子どもが大学進学の時期を迎えるとほとんどの場合、受験や入学費用を別途負担して欲しい、と要求される可能性が高い、と考えたほうがいいでしょう。母子家庭の年収は年200万台が主流です。住宅ローンの負担がなくても、子どもの将来の進学に備えて蓄えておくのは難しいでしょう。

しかし、男性側も一定以上の収入がない限り、自分の生活と住宅ローンに加え、子の進学費用を積み立てていくのは至難の業です。

養育費の状況・全国母子世帯等調査2018|厚生労働省
「世帯の状況」(ひとり親世帯の住居の状況)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11920000-Kodomokateikyoku/0000188155.pdf


●役職定年、働き方改革…。ローン完済は本当に大丈夫か?
男性側のリスクも多分にあります。平成の約30年ではっきりしているのは、中流家庭の没落です。社会保障費や税金などの負担増に加え、企業もできるだけ正社員への保障を切り詰めています。裁量性、働き方改革という名の残業代カットや収入の頭打ちも追い打ちになっています。

そもそも人口が減少し続ける日本において、不動産を購入するのはかなりのリスクがあります。加えて離婚率は3割を超え、高騰する教育費と相反するかのような収入の頭打ち、雇用の不安定化。何千万円もする、恐らく値上がりは期待できない不動産に頭金も入れずに35年もの長期ローンを組むのは、果敢にリスクを取りにいっている、と断じるほかないのです。


●『離婚時の約束』の履行率は時間と反比例
離婚時の約束、これは必ず果たされるとは限りません。そのため、多くの離婚経験者は調停や裁判、離婚公正証書などでより確実性を高めようとします。

しかし、時間の経過はシビアです。社会環境や人は離婚時のまま長期に不変であるはずがありません。別れた夫婦にはその後の生活があります。お互いに離婚時の約束を楯に相手に責任を追及しても、多くは責めるだけの結果になっているケースが多いと言えます。

【離婚時の約束・不履行例】
(1)元夫が費用負担をしない
(2)元夫が費用負担の減額請求をしてきた
(3)元夫が自己破産を申請し、直接連絡が取れない
(4)元妻側が約束の期日になっても物件から退去しない
(5)完済したら元妻名義にする約束を元夫の再婚相手が阻止してきた

他にも、元夫にローン負担を求めたり、養育費の減額をさせないために、元妻が新しいパートナーが現れて物件に住み始めたとしても入籍をしないまま事実婚を選び、元夫側は納得できない、と言い出すこともあります。


【約束は守られていたが、想定外の結果に】
(1)ローン支払い中に元夫が死亡し、団体信用生命保険が適用されたが、元妻には相続権がない
→再婚相手が物件を相続し、退去を迫られた(使用貸借=タダ利用につき居住権なし)。その後、係争に発展。

(2)完済して無事元妻名義に。翌年多額の贈与税が元妻に。
→財産分与の時効は離婚後2年であるため、物件の名義変更には贈与税が課された。名義変更の翌年、多額の贈与税を請求され、物件を手放さざるを得なくなった。

※本ケースは、離婚時に離婚協議書や公正証書で将来の財産分与を明文化していなかった。


【まとめ】離婚時に自宅を処分しない場合、少なくとも所有者が住み続けましょう。
住宅ローンは『家の所有者が自宅に融資する』ものです。
家を処分するのは、所有者です。任意売却の場合は、債務者や連帯保証人も関係者となります。その家をどうするのか判断すべき人がその場にいないと、話がうまくまとまりません。これは大きなリスクです。

また、元家族や実子とはいえ、所有者ではない者だけで住むことは契約違反です。もちろん、住み続ける側でローンを組めば、名義も変更できます。ローンは払っていれば問題ないでしょう、という訳ではないのです。
これは、身近な物でも同じです。例えば、質屋に持ち物を質入れする際、クレジットカードで購入して代金を払いきっていなかったり、分割払い中の品物を質入れすることはできません。つまり、借金で買ったものは、その支払いが終わるまで、完全にその人の自由になるとは限らないのです。

自宅を処分すると、人間が最も嫌う『損をする』ケースが多いことでしょう。しかし、日本では、自宅購入は資産形成ではありません。自宅は車などと同じく、高額な耐久消費財です。買った以上は、維持費もかかり、価値も目減りします。これを元家族のために、と維持に努めると、まず多くのケースで本人はもちろん、子どもの将来の選択肢も怪しくなる可能性が高いのです。