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2021/09/05(公開: 2019/09/06)

(32)住宅ローンを抱えて老後を迎えるリスク

現役時代と同じペースで住宅ローンが払えるのか?

『下流老人』『老後破産』という、老後生活の厳しさを表す言葉が、いろいろな媒体にあふれています。
現役時代に備えが充分ではないまま老後を迎えるのは不安なものです。特に生活に支障が出やすいのは、定年退職後など、現役時代ほどは稼げなくなっているのに、住宅ローンが残っているケースです。中には75歳、リスケジュールをして80歳前後までローンが残っている方もいらっしゃるのです。

NHKスペシャル「老人漂流社会“老後破産”の現実」から

昭和の価値観と老後破産

常識的に考えれば、住宅ローンが70代・80代でも現役時代と同じペースで返済できる確率は低いはずです。
ローンを組んだ若い時は、老後のことまで想像がしづらいかもしれません。しかし、退職や老後が見え始めた50代は、少なくとも年老いた時を意識しているはずです。その時、老後資金を蓄える余裕もなく、住宅ローン自体が負担に感じていたり、いくつものローンを抱えていると、高い確率で老後生活が危うくなります。

この時点で、現実的な目線でファイナンシャルプランニング(将来の資金計画)をシュミレーションし、”家計の仕分け”をする人、つまり自宅や車、子どもの教育にかけられる費用を見積もったり、収入向上にいそしむ人は少数派です。多くの方は、自分が育ってきた環境より上の暮らしを求めがちで、それに適う環境づくりには無頓着です。それまでの価値観や希望を捨てることができない結果、どれも諦めることなく、願望に向けて突き進みます。

しかし、”これまでやってこれたんだから、今後もなんとかなるだろう。”という楽観は、ことお金に関しては、よほどの自助努力が実るか、一発逆転のような幸運が舞い込まない限り、実現しないものです。

高金利時代のローン:残高の高止まり

60歳以上で任意売却をする方の多くは、住宅ローンを20年は払っています。それでも、ローンの半分以上が残っているケースは少なくありません。

これは、
1)景気のいい時期(金利の高い時期)にローンを組んだ
2)物件が現在より非常に高い価格で取引されていた
3)元利均等返済を利用している=ローン残高が減りにくい

という特徴があります。住宅ローンのほとんどが元利均等(毎月一定額のローン)返済ですが、繰り上げ返済をしない限り、金利と借入期間によっては、借りた元本以上の利息を払うことになりかねません。
事実、金利が安い昨今でも、元利均等返済の場合、ローン開始当初10年ほどは、元金があまり減っていないのです。高い買い物、高い金利、なかなか減らない住宅ローン…これが今のシニア世代の生活を脅かす要因の一つです。

いずれローン破綻をするなら、決断は早い方がいい理由

仕切り直しをするならば、若ければ若いほど有利なことは言うまでもありません。それは、時間が最大の味方であること、そして体力や健康面で若いほうが圧倒的に有利なためです。
人間は歳を重ねるにつれ、健康面での不安が大きくなりますが、そもそも社会で就労できる機会が高齢では狭くなっている、という事実があります。たとえ健康に不安がなくとも、相手からお呼びのかかるような経歴や見識、技術などがない限り、シニアが働ける場は、若い人ほど多くはありません。

明治安田生命『2018 年度の公的年金額と 2017 年の高齢者世帯の収支』


老後破綻により、任意売却をした人はどうしているの?

ケーススタディ:
1)準備のないまま定年退職を迎え、再就職がうまくいかなかった

Tさん 60代男性
神奈川県下の一戸建て 築28年
残債:1900万、時価:1450万
住宅金融支援機構と関東年金借入

<相談内容>
昭和63年にゆとりローンで家を買いました。当時は4000万円以上した家で、金利を含めるとこれまで総額7000万円以上支払っていると思います。教育費がかかった時に一度、リスケジュールをして、返済期間を延ばしました。定年時に退職金は教育ローンと車のローン返済に充てたので、半分以上使ってしまいました。

元の職場の嘱託社員となったのですが、これまで経験のない部署での仕事内容がまったく合わず、職場の人間関係もよくなったためか、体型はスリムなのに糖尿病や高血圧の症状が出始め、急速に悪化しました。結局、1年もしないうちに退職して療養生活に。今はビルメンテナンスのアルバイトをしていますが、仕事ができなかった2年間で預貯金はすべて使いきってしまいました。

療養中に、ローンが完済できる価格で売出しをしていたのですが、全く反応がなく、不動産業者からは『価格の見直しをしないと、とても売れませんよ。』と何度も言われたのですが、借金が残ってしまうので、下げることはできなかったのです。

<相談結果と方針>
まず、ローン完済することを前提に売出しをして、うまくいった試しはほとんどありません。借金の残高はあくまで売主の事情であり、不動産の価値とは別物だからです。時価は市場が決めるものなので、周辺の物件が最近、どのくらいの価格で取引をされているのか、を主眼にし、あとはその物件の個別要素を加味して査定を進めるべきです。
相談時には、次回の引き落としから滞納してしまう、という状態でしたので、今の販売は取り下げ(売り止め)とし、任意売却をしていくことになりました。

<結果>
6か月の滞納を経て、任意売却を申し出ました。任意売却はすごく長くかかるのだな(※)、というのが正直な実感です。残債務は、住宅金融支援機構と関東年金分の保証をした保険会社にそれぞれ月5千円ずつの支払いをすることで様子を見てもらうことになりました。
任意売却すると自己破産するのか、と思っていましたが、少しずつ支払っていけると知り、まずは結論を急がないことにしました。
(※)債権者や債務整理などによって、任意売却が始まるまでの期間は異なります。

<相談者から>
家を買う時は、家が財産になる、老後の住まいになる、と信じて疑いませんでした。私の世代だと、家は買うものだ、という価値観ですし。多額のローンを支払っても、家は買った当時の3分の1程度の価格にしかならず、おまけに借金まで残る結果となり、残念でなりません。こんな方は大勢いらっしゃるとは聞きましたが、救いのない話ですね。


2)連帯保証人である妻が認知症。介護のため退職し、生活が破綻した。

Mさん 50代男性
埼玉県下のマンション 築28年
残債:1170万、時価:1200万
信用金庫借入

<相談内容>
55歳の時、会社では役職定年となりました。退職までは消化試合のような感覚で、ゆったり仕事をするつもりでした。妻とは趣味が同じなので、老後生活を夫婦で楽しみにしていました。それがある時期を境に、妻が変調をきたしたのです。家事は途中で放置する、水や電気を止め忘れることが増えました。簡単な計算も時折おぼつかなくなり、受診させた結果、認知症と診断されたのです。

いろいろな粗相をするので、1人では家に置いておけません。その時はまだしっかりしている時もあるので、施設に入所も困難です。結局、自宅で看るしかないので私は定年までの数年を残して退職しました。資格があったので、自宅で開業し、収入を得る予定でしたが、症状が進む妻の世話でそれどころではありませんでした。
退職金は出たものの、早く退職した分だけ減額となりました。住宅ローンは、退職金である程度繰り上げ返済し、手元には5年分程度の生活費を残したつもりでしたが、慣れない家事、介護、ローン、管理費などであっという間にお金が底を尽いたのです。

<相談結果と方針>
残債務とマンションの時価は同じくらいでしたが、売却する際の諸費用が全くなく、生活費もままならない状態だったので、住宅ローンとともに管理費や修繕積立金も滞納せざるを得ませんでした。
若年期認知症でも、要件はありますが、いろいろな公的支援が受けられるので、役所などに相談してもらい、任意売却を進めていくことになりました。
ただ、奥様が住宅ローンの連帯保証人だったので、足りない額の債務承認が難しいことがネックでした(※)。

厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/guidebook_1.pdf

<相談者から>
目の前の生活に手一杯で、八方塞がりの状態だと思っていました。たしかに病院でも認知症のパンフレットをくれたりしたのですが、妻を連れて通院自体が苦痛であるうえ、薬を飲ませるのも一苦労。毎日の様子を見ていると治療も意味がないように思えて、通院から遠ざかっていました。
今は公営住宅に移り、定期的に病院へ通っています。残債は少し出たのですが、いったん兄夫婦に用立ててもらい、彼らに毎月返済しています。

(※)ローンを返しきれないまま任意売却をする場合、住宅ローンの連帯保証人の”債務承認(ローンの責任を認めること)”が必要です。意思能力を失っている場合は、任意売却の妨げとなるため、本ケースではご親戚の協力を仰いで解決していただきました(足りない費用を違う借金で補填した)。


3)現役時代にローン頼りの生活を続けてきた結果…。

Uさん 60代夫婦
東京都下のマンション
残債:4270万、時価:2450万
都市銀行借入

<相談内容>
もともと収入は年900万円以上ありました。私も妻もそれなりの学校を出ていたので、子どもにも同じようにお稽古事や中学受験をさせました。家はこれまでに3度購入しています。買い替える度に、前の家の売却損を次の家のローンにまとめた(住み替え)ローンを利用していました。定年を迎え、相応の退職金を手にしたのですが、借金のほうがずっと多いことに愕然としました。

幸い、定年後は顧問として入ってほしい、と誘われていた会社があったので、特に心配はしていませんでした。しかし、その就任後間もなくその会社が倒産の危機に陥ったのです。顧問は下りるほかなく、見込んでいた収入がありません。毎月恐らく60万以上の出費をしていたので、破綻までそう時間はかかりませんでした。

<相談結果と方針>
Uさんは、典型的な“メタボ家計”を長年続けてきたようです。家を買い替えるたびに借金が増えていましたし、お子さんには充分な教育をつけ、海外留学も経験させています。車は高級車をリース契約し、定期的に新車に乗り換えるもの。車だけで600万円もの債務がありました。ショッピングローンやカードローン残高も少なからずあり、収入のない今、工夫の余地などない状態でした。

<結果>
ご本人や奥様も借金の全容が分からないほどの多重債務でしたので、自己破産という選択肢をご提案しました。当初から弁護士に入ってもらい、破産手続きを準備しながら、自宅の任意売却を進めていきました。

<相談者から>
最初はかなり抵抗がありました。これまで失敗らしい失敗など経験がありませんでしたから。自己破産ももちろん嫌でしたが、無職でお金がない生活は本当に辛いのです。車は引き上げられ、古くて小さな賃貸への引越し。クレジットカードも使えません。年下の弁護士に仕事探しをするよう言われたときは、屈辱感を味わいましたね。私にとって仕事は請われてするもので、探したりお願いしてもらうものではありませんでしたから。
全部終わってみると、ローンで買ったものは、ある意味『砂上の楼閣』なんですよね。社会的な立場もお金もないと、こんなに無力なんだ、と思い知らされました。

あとがき

人生は誤算の連続です。
長い経済成長期を経験したシニア世代が、今の社会環境を想像できるわけもないのはよく分かります。

家は、耐久消費財とも言えます。買った瞬間から価値が目減りしていくものだ、という認識があれば、自宅を購入するか否かも含めて、価値観と経済的な合理性などでもって各人が決めればいいのです。

特に日本は空家率も高く、人口も減少しています。注目を浴びる特定の地域以外、不動産価格が上がる要素は見当たらないのではないか、と考えています。
ローンは便利な“道具”ですが、使う際は自分の手に負える範囲にしておかなくてはなりません。