任意売却後の残債について

任意売却後の残債はどうなるのですか?

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任意売却後の残債はどうなるのですか?

a

債権者と交渉し、少額ずつ支払う計画を立てます。
残債は残債務とも呼ばれ、任意売却においては、不動産売却後に残った借金のことを指します。
では、この残債務はどうなるのでしょうか。

任意売却をして残った借金は、自己破産あるいは時効など法的な要件を満たさない限り、消えません。

そのため、債務整理をしない限りは、債権者と交渉し、返済していくことになります。

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残債務の支払い交渉は自分でするのですか?

a はい。残債務の交渉は、債権交渉にあたります。弁護士法にもとづき、債務者本人または代理人弁護士が行わなければなりません。 ただし、任意売却119番では、交渉のしかたについて、アドバイスはさせていただきます。

では、残債務は具体的にどのような流れで支払い交渉をするのでしょうか。

残債務の支払い交渉は自分でするのですか?

残債務の支払いは、債務者と債権者が直接交渉します。

多くのケースで任意売却が内々に決定すると、「生活状況確認表」「生活収支報告書」といった書面を渡されます。

これはその時点の月々の収入や支出の内訳を記載するもので、あまり難しいものではありません。

簡素な家計簿のようなものだと考えてよいでしょう。

場合によっては証明書を求められることがありますので、収入や家賃、その他の支払額について正直に書きましょう。

「残債務の交渉は、任意売却担当でやってくれないのか?」という質問を受けますが、これは先の説明のとおり、法律の兼ね合いより、代わりに対応は致しかねます。

しかし、任意売却119番はまったく関知しない、というわけではありません。

残債務交渉については、アドバイスという枠組みでサポートしておりますので、ご安心ください。

「残債務の支払い額は月々、いくらくらいになるのか?」と不安な方もいますよね。

これまでの実績より、ほとんどの債務者は、それまでの住宅ローンよりずっと少ない支払い返済額となっています。

生活状況にもよりますが、月額5,000円程度から多くても数万円以内の返済となることが多いようです。

これは、残債額の多い少ないに関わらず、あくまで今後の生活状況によって金額を決める債権者がほとんどです。

【ケーススタディ】大阪府高槻市 FM様の例
FMさんは、2010年にフラット35で自宅を購入。
転職(独立)による収入減があり、離婚による二人のお子さんへの養育費支払いが重くて、住宅ローンが払えなくなりました。

2019年に任意売却をし、現在はワンルームを借りて会社員として再就職、養育費と住宅ローンの残債務の支払いを続けています。

【ケーススタディ】大阪府高槻市 FM様の例

相談者より「本当に数千円から数万円の支払いに応じてもらえるのですか?」と、よく聞かれます。

たしかに数百、あるいは一千万円以上の残債務がある場合、少額ずつの支払いでは一生かけても払い終えることはできないかもしれません。

しかし、任意売却をした方には経済的な余裕はありませんので、現実的に支払える金額に応じざるを得ない、というのが債権者の考えです。

残債務はいくら?実際の支払い例

1)愛知県東海市 Eさん 41歳 会社員
勤務先の倒産により失職。2年の無職期間を経て再就職したものの、大幅な収入減でローン破綻し、任意売却を終了。
・債権者:住宅金融支援機構
・残債務 645万(遅延損害金含む)+カードローン30万
・状況:家族4人(妻と未成年の子)
残債実例1
2)埼玉県越谷市 Nさん 70代 無職
・債権者:保険会社(第二抵当の関東年金分)
・残債務:184万(遅延損害金含む)
・状況:独居(夫とは5年前に死別)、収入は遺族年金のみ。
残債実例1
3)兵庫県西宮市 Oさん 50代 契約社員
保険会社勤務後、保険代理店を開業したものの、業績低迷によりローン破綻。今は保険代理店の契約社員。
・債権者:地方銀行の保証会社
・残債務 620万(遅延損害金含む)+消費者金融など5社210万+教育ローン150万
・状況:家族3人(妻と社会人1年目の子)
残債実例1

住宅ローンの残債はどうする?

住宅ローンの残債はどうする?

まず、任意売却と通常売却の決定的な違いをおさらいしておきましょう。

その違いは、「売却時にローンを完済できるか否か」です。
金融機関は、貸金を保全するために、融資対象の不動産に抵当権を設定しています。

債権者はローン残高全額の返済を受けない限り、抵当権を解除しません。

つまり、住宅ローンがある限り、所有者であっても債務者は、勝手に不動産を売却できないのです。

しかし、ローンの滞納が生じて融資が事故債権化し、その担保物が融資残高でしか処分できないことが明白な場合、債権者は競売・任意売却のいずれにしろ、弁済を受けられないままでも抵当権を抹消するほかありません。

残った債務は一括返済請求を起こしますが、債務者がそれに応じることができれば、ローンを滞納することはなかったはずです。

また、それまでのローン返済額では払えるわけもないでしょうから、現実的に債権者は、債務者の生活状況をふまえて回収できる額を返済してもらうしかなくなります。

そのため、『残債務を月々に数千円から多くても数万円ずつ支払っていく』という交渉がまとまるのです。

住宅金融支援機構や日本政策金融公庫からの場合

少額の支払いが続けられるのかどうかは、もともとの借金が民間企業からの借入かどうかで考えます。

住宅金融支援機構や日本政策金融公庫など、税金絡みの借金はこれまでのところ、少額ずつの支払いが続いているケースがほとんどです。

ただし、定期的にヒアリングや面談があり、生活状況が良くなっていれば、返済ペースを上げたり、相続した財産を突き止めたりして、一括返済を求めていることはあります。

民間企業からの借入金の場合

任意売却や競売のあとに残ったあなたの借金を買う会社があります。
それが、サービサーと呼ばれる債権回収会社です。

サービサーは、一定の要件を満たした法人が、法務大臣の許可を得て活動しています。
借金が早期に終わることがあるのが特徴です。

残債の返済についてサービサーと交渉しよう

前の章での説明の通り、融資元が民間(企業)の場合は、サービサーと呼ばれる法人に債務が債権譲渡(売却)されることがほとんどです。

これは、金融機関の運営上、多くの不良債権をいつまでも抱えておくわけにはいかないためです。

早ければ任意売却後1年以内に、別の法人が債権者となった通知がくることでしょう。

改めて支払い交渉をするのは気が重いでしょうが、これがチャンスになることもあります。

サービサーの「全額一括返済」は建前

例として、残債務が300万円あるとします。

サービサーは債権回収業務を専門にしていますので、債権をいくらで買おうがまず「300万円を一度に返済してください」と言いますが、それができないのは百も承知です。

次に支払い計画の変更を持ちかけるでしょうが、恐らく「月1万や2万円の支払いには応じられない。

月5万の60回払い(5年)にしてください。」といった”ハイペースな完済計画”を切り出すでしょう。

ここで、応じなければどうなるのだろう…と不安になる方が続出します。

しかし、約束して実行できないことに応じてはいけません。

決着がつくまでに、何度か交渉を重ねることになるでしょうが、担当者も同じような案件を数百件単位で抱えているはずです。

月数万の回収のために多大な労力をかけるわけにはいきません。
ここでやっと現実的な方針に舵を切ります。

交渉しだいでは借金を減額してもらえる

サービサーは、不良債権のまとめ買いをしているので、そもそも回収が難しいのは分かっています。

調査をして債務者に差押えのできそうな財産や収入がないとなれば、あとは「早期に確実な回収」を目指すしかありません。

「いくらなら払えるのか?」となり、「100万円支払って終わりにしないか?」など、その債権者や債務者によっていろいろな切り出しがあるでしょうが、恐らく見込んでいる回収額より高い金額で打診をしてくるはずです。

ここまで粘ることができたなら、あとは懐具合との相談です。払える金額を伝えましょう。

すぐにはまとまらないかもしれませんが、話し合いがついた際は必ず、支払い金額と残債務の請求はないことを明記した書面を交わしましょう。

※サービサーとは:
サービサーとは債権回収を生業(なりわい)とする法人のことです。
金融機関から委託、または譲渡された債権(貸金)を管理回収する専門の業者です。

サービサーは、債権回収という業務の性質から、法人の設立や営業要件が厳しく定められており、「資本金5億円以上の株式会社であること」「取締役に弁護士が一名以上いること」「反社会的勢力との関係を持たない取組みをしている」などの認可要件があります。

金融機関と同様、債権回収の手法は規定に則ったものであり、対話する時も常識的なものですので、恐れる必要はまったくありません。

万が一、不当な取り立てを受けた場合は、不服を申し立てればよいのです。

ある日突然、見知らぬ債権回収会社へ債権が譲渡された、という通知がくることがあります。 債権譲渡も法に従ったものですので、落ち着いて対応しましょう。

残債務が支払えない場合は債務整理を視野に

残債務が支払えない場合は債務整理を視野に

残債務について、「任意売却後も生活が苦しく、たとえ数千円でも支払いなどできません。」「心身に支障があり、満足に仕事もできないため、収入がほとんどありません。」「年金受給者となっては、払いようがない。」という方もいます。

この場合は、債務整理をして、早期に借金をなくす、あるいは大幅に減額してもらうことを検討したほうがいいかもしれません。

特に子育て世代が任意売却をする場合で、将来の教育資金を教育ローンなどの借金で用意する場合、先に自己破産などの債務整理を活用し、お子さんの進学時までにローンが組めるよう、ライフプランに合わせた準備を案内するケースもあります。

債務整理の種類

続いては、実際に債務整理を行う時に知っておくべき、種類について解説していきます。

任意整理

任意整理とは、借入時までさかのぼって上限金利で引き直し計算することにより、借金を減額するものです。

基本的には金利をなくし、借入元本のみを3年程度の分割払いで返済することを債権者と債務者で折り合い(和解し)ます。

任意整理は、比較的少額借入の整理やあとで説明する自己破産や民事再生のデメリットを避ける方が用います。

将来の金利や遅延損害金を返済する必要がなくなることで、生活の立て直しを図ります。

なお、減るのは金利部分であるため、借金自体の圧縮にはあまり効果がありません。

任意整理後は信用情報に事故登録がなされますので、新たな借入やクレジットカードなどの新規作成は当面できなくなります(過払い金請求の結果、借金完済できた場合を除く)。

他の債務整理に比べると、比較的簡便な手続きであるため利用する方が多いのですが、借金がさほど減っていないうえに新たな借入ができなくなります。

仕組みを充分理解して活用するかどうか判断しましょう。

個人再生

個人再生とは、個人(版)民事再生の略称です。

大きく二つに分けられており、小規模個人再生・給与所得者等再生があります。

任意売却相談においては、『住宅資金特別条項(住宅ローン特則)』といって、住宅ローンを棚上げする(維持するためにそのまま残す)か否かがポイントとなります。

個人再生の概要は、借金全体を大きく圧縮してもらい、原則3年、認められた場合は5年の計画で、大きく減らしてもらった借金の完済を目指す、というものです。

自己破産と違い、職業の制限を受けません。
特に住宅(ローン)を維持したい人向けの制度と言えるでしょう。

個人再生のパターン:

1) 住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を援用する場合…住宅ローンを維持<※1>
し、その他の債務を大きく減額してもらう。つまり、自宅以外の無担保債務のみ大幅に減額してもらう手続きです。

2) 住宅などの大きな財産を処分し、任意売却後の借金とその他の債務<※2>
を含め、大きく減額してもらう。つまり、資産を処分して残った無担保債権を大幅に減額してもらう手続きです。

説明: <※1>住宅を維持するためには、住宅ローン以外の抵当権が設定されていない、などの条件があります。つまり、担保融資や根抵当などが設定されていると認められません。
<※2>各種の税金、慰謝料や養育費など、免責や減額対象にならない債務があります。

なお、個人再生を利用できる方には種々の要件があります。
・住宅ローンを除いて、借金の総額が5,000万円以下である
・このままでは返済不能となるおそれがある
・継続して安定収入が得られる見込みである
・過去7年以内に破産法に基づく免責決定を受けていない
といった要件を満たす必要があります。

実は、任意売却をする方には、過去に個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を認可してもらった方が少なくありません。

住宅ローンはそっくり残っている状態で再生を図ったものの、そもそも過大なローンを抱えている場合、劇的な変化でもない限りは挫折してしまうのは当然の結果です。

個人再生は家を守りたい一心で取り組むのではなく、住宅ローンを残しても本当に経済的な再生ができるのかどうか、充分な検証をしてから判断しましょう。

自己破産

自己破産とは、借金返済に対する財産や収入がまったく足りず、支払不能であることを裁判所に認めてもらい、法律上借金の免除してもらう手続きです。

これを免責といいます。自己破産をする場合は、一定の職業について、就労制限を受ける期間があります。

免責が受けられた後は、職業の制限もなくなり、その後に得る収入や資産も自身のものにすることができます。

任意整理や個人再生は借金を残したまま再生を図りますが、自己破産の場合は、経済的にリセットした状態になります。

自己破産をしてもすべてのものを失うわけではなく、一定の条件下のものであれば、現預金やローン返済のない車や保険、家財道具などもそのまま持っておくことができます。

自己破産の対象者:
・借金返済ができないことが明らかである
・過去7年以内に免責を受けたことがない

残債の相談にものってくれる任意売却業者がおすすめ

残債務が支払えない場合は債務整理を視野に

仲介業務を主眼にしている不動産業者の場合、任意売却後の残債務については、「こちらではできません。自分でやってください。」「自己破産したほうがいいですよ。」といった案内しかしないようです。

しかし、金融機関を相手に交渉を自分でする方法は分からないものです。

また、債務整理は事情や都合があってできない、あるいはしたくない人もいらっしゃることでしょう。

任意売却119番では、任意売却の際、残債務交渉のアドバイスはしております。
主に金融機関との面談時の対応方法、そして書面の書き方などです。

債務整理をご希望の場合は、提携または顧問弁護士や司法書士をご紹介しております。

また、たとえ残債務の支払い交渉がうまくいかなかったからといって、自己破産をしなければならない、というわけではありません。

自己破産は債務者の意向で申請するものであり、誰からも強制や命令をされるものではないからです。

積極的に債務整理をしたいわけではない場合は、まず金融機関と交渉をし、うまくまとまらない時にはじめて検討してもいいでしょう。

または、一旦うまく交渉がまとまったものの、借金を背負ったまま再出発することに不安が強い場合、あとから債務整理することも可能です。