二世帯住宅トラブルから抜け出すために任意売却で再出発した事例
「二世帯住宅は仲良く助け合えるはず」そう思って建てたのに、生活リズム・家事への口出し・育児方針の相違など、想定外のストレスから関係が悪化し、ついには住宅ローンの支払いや住み替えにも影響が出るケースは少なくありません。
本記事は、二世帯住宅の“売りにくさ”と任意売却の活用で軟着陸した実例を、金額の流れまで具体的に解説します。
なお、任意売却の全体像を知りたい方は、「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- ・年間相談件数3,000~5,000件
- ・8割以上の方が相場に近い価格で売却に成功
- ・売却後の残りの返済額:月10,000円前後の方が多数
- ・くわしい経歴→「競売体験者」だからわかります
二世帯住宅トラブルから抜け出すために任意売却で再出発した事例

埼玉県さいたま市岩槻区:S佳様(仮名)
職業:主婦 / 年齢:38歳 / 家族:夫・子ども2人・夫の両親
物件:二世帯住宅(完全分離に近い一部共有型)/ 住宅ローン残高:約3,120万円 / 時価:約2,520万円
相談の経緯
夫との両親と同居することを提案したのは、S佳さんでした。
「舅、姑とも仲が良かったんです。子どもの教育にも3世代同居がいいだろうし、親も一緒にいるほうが喜ぶだろう、私たちはうまくやっていける」と自信たっぷりでした。
そして、S佳さんの提案により、古い両親の家を取り壊して、夫と舅の共同名義で二世帯住宅を建てました。
プライバシーにも配慮した間取りにしつつ、行き来のしやすい構造としましたが、それが裏目に出たようです。
お姑さんは気を利かせたつもりで、家事や育児を助けてくれましたが、S佳さんが次第に負担に感じ、プライバシーが維持できない、と思えてきて、関係がギクシャクしはじめたのです。
二世帯住宅が売れにくい理由
- 間取りの汎用性が低い:キッチン・水回りが二重構成で好みが分かれる
- 維持費の見通しが立てにくい:将来の修繕費が高額になりやすい
- 需要が限定的:「二世帯×学区×通勤」の条件一致が少ない
結果として流通価格は同規模の単世帯より低くなりがちです。
今回も査定は軒並み「2,400〜2,600万円台」でした。
任意売却による解決の流れ
- ① 想定成約価格:2,520万円
- ② 売却諸費用(仲介・登記・抵当抹消・測量等):約120万円
- ③ 売主手取=①−②:2,400万円(全額を債権者に送金)
- ④ 住宅ローン残高:約3,120万円(夫・舅の共同名義/親子ローン)
- ⑤ 決済時返済(③):2,400万円
- ⑥ 残債:約720万円
- ⑦ 金融機関との合意(サービサー移管後):
- ・将来利息カット/遅延損害金の一部不計上
- ・分割弁済:月10,000円 × 96回(総額96万円)
- ・高齢の親世帯の収入・資産状況を踏まえて一部減免に合意
- ⑧ 引越し費用:売買代金の配分で最大20万円を承認(引越見積書・内訳提示)
ポイントは、「利息等のカット+現実的な分割和解」を土台に、親世帯の生活設計(年金・医療・介護)を資料化し、減免の合理性を丁寧に提示したことです。
売却活動はこう進めた
1.現地の確認と価格の決定
まずは建物の状態や周辺の相場を丁寧に調べました。初めの販売価格は2,580万円に設定しましたが、反響の状況を見ながら少しずつ調整していきました。
2.見せ方の工夫
「二世帯住宅」としてだけでなく、「仕切りを変えれば普通の一戸建てとしても使える」という点をアピールしました。セカンドキッチンを取り外す費用や間取り変更の目安も提示し、購入後のイメージを持ちやすくしました。
3.宣伝方法を広げる
大手不動産サイトへの掲載だけでなく、学区内でのチラシ配布や近隣の不動産会社にも情報を共有して、幅広く買い手を探しました。
4.内覧時の工夫
玄関が2つある物件だったため、見学時にはそれぞれの動線を分けて案内しました。生活音やプライバシーの問題を事前に説明することで、安心感を与えました。
5.買い手が見つかってからの調整
購入希望者の住宅ローンの確認を早めに行い、同時に銀行と残ったローンの処理について話し合いを進めました。スムーズに手続きが進むよう、配分の計算も並行して行いました。
6.引越しと引渡し
両親世帯と子世帯が別々に住む必要があったため、2組それぞれの新居探しや引越し手配も同時に進めました。残っていた荷物の整理もサポートし、無理のないスケジュールで引渡しを完了しました。
よくある二世帯住宅トラブルと予防策
- 家事・育児・来客ルールは書面化(掃除・洗濯・食費の分担表)
- プライバシー確保:生活動線と音対策(ドア位置・防音)
- 出口戦略:単世帯転用の容易性を設計段階から織り込む
任意売却後のS佳様のご感想
任意売却で競売回避。親世帯は駅徒歩圏の賃貸2DKへ、子世帯は学区内の賃貸3LDKへ移転。残債は分割和解(1万円×96回)で月負担を最小化しました。
S佳さんは、「広い敷地に大きな1軒家を建てず、2軒の戸建てを建てればよかった。そうすれば1軒の家だけ売るなり貸すなりできたのに。」と後悔しきりです。
まずは状況を整理しましょう

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