任意売却の7大デメリットと失敗を回避する具体的な方法をプロが解説
住宅ローンの返済が苦しくなり、「任意売却」という選択肢を検討し始めた方は多いでしょう。しかし、その名前を聞くと、「本当に自分にとって最善なのか?」「何か大きなデメリットがあるのでは?」と不安に感じるのが正直なところではないでしょうか。本記事では、任意売却の専門家が、知っておくべき7大デメリットを隠さずに徹底解説します。
なお、任意売却の全体像を知りたい方は、「任意売却とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- 宅地建物取引士
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目次
任意売却の7つのデメリット
1. 信用情報に事故登録がなされる(ブラックリスト)
任意売却を検討する際、多くの方が最も気にされるのが「信用情報」の問題ではないでしょうか。
任意売却をすると、一般的に「ブラックリストに載る」と言われる状態になります。
ブラックリストって、どういうこと?
実は、「ブラックリスト」という名前の名簿が実際に存在するわけではありません。これは、あなたの「信用情報」に金融事故の記録が残る、という仕組みのことを指しているのです。
任意売却は、金融機関との合意の上で進める手続きではありますが、根本の原因は住宅ローンの滞納です。
任意売却を行うためには、通常、ローンの支払いを最低でも3か月以上滞納している必要があります。この滞納の事実が、信用情報機関に「事故情報」として登録されてしまうのです。
どんな影響が出るの?
信用情報に事故情報が登録されると、約5年間は「新しいローンやクレジットカードの審査が通らない状態(新規与信不可)」になります。
具体的には、
- 新しい住宅ローンやマイカーローンが組めない
- クレジットカードの新規作成や更新ができない
- 携帯電話の分割払いの審査が通りにくくなる
といった影響があります。「人生の再スタート」を切る上で、しばらくの間は金融面で制約を受ける、という現実を知っておくことが大切です。
この事故の記録は、おおむね5年間は消えません。この期間を乗り越えれば、また信用情報を回復させることができますので、必要以上に恐れず、計画を立てていきましょう。
関連記事:任意売却するとブラックリストに載る?信用情報への影響をプロが解説
2.離婚した夫、妻の協力が必要な場合もある
任意売却を進める中で、「できれば元配偶者(元夫、元妻)とは連絡を取りたくない」と考える方はとても多いです。離婚後に、再び連絡を取らなければならないのは、多くの方にとって気の重いことだと思います。
しかし、任意売却の手続きを進めるうえでは、どうしても元配偶者の協力が必要になる場面があります。
たとえば、以下のような状況では、元配偶者にも書類への署名や捺印をお願いしなければなりません。
- 売却する不動産の共有名義人になっている場合
- 住宅ローンの連帯保証人になっている場合
- 元配偶者がまだその家に住んでいる場合
「どうにか協力なしで進められないか」と考えるかもしれませんが、法律上の手続きであるため、必要な協力は避けられません。これが、任意売却のデメリットの一つといえます。
専門家が間に入り、直接のやり取りを回避できます
ですが、ご安心ください。こうした場合でも、専門家(任意売却の相談員や弁護士など)が間に入って調整することで、あなた自身が元配偶者と直接やり取りをしたり、交渉したりせずに手続きすることも可能です。
▶ 関連記事:任意売却の際、連帯保証人の協力は必須なのか?
3.債権者の同意が必要
任意売却を進める上で、多くの方が「自分だけで決められない」というもどかしさを感じる点かもしれません。
任意売却は、「家を売っても、住宅ローンが全額返しきれずに残ってしまう」という状況で行うものです。
そのため、あなたにお金を貸している銀行などの債権者の同意がなければ、売却を勝手に進めることはできません。
なぜ銀行が主導権を持つのか?
理不尽に感じるかもしれませんが、これはあなたが借りたローンのお金が、完済されないまま終わる手続きだからです。
- 売却価格の決定: 「いくらで売るか」という売却価格も、最終的には銀行側が納得できる水準で決めます。
- 売却の条件: 買主を見つけても、その条件や契約内容についても、銀行の許可が必要です。
つまり、任意売却は「銀行と協力して進める手続き」という側面が強いのです。
▶ 関連記事:任意売却の相談先は不動産会社・弁護士・銀行?それぞれの役割をプロが解説
4.買い手が見つからないと競売になる
任意売却を進める中で、最も避けたい事態が「競売(けいばい)」です。
任意売却は、期限付きではありますが、基本的に一般の不動産市場で家を売る方法です。
しかし、設定された期限までに買い手がつかない場合は、残念ながら債権者(銀行など)によって裁判所へ申し立てられ、家が競売になってしまうことがあります。
競売になると何が起こるの?
一度、競売になってしまうと非常に不利な状況になります。
- 売却価格が大幅に下がる: 競売は市場価格の5割~7割程度で売却されることが多く、任意売却と比べて残る借金が非常に多くなってしまいます。
- 引っ越し費用が出ない: 競売では、新しい所有者が決定すると、強制的に退去を迫られることになり、引っ越しにかかる費用が出ません。
競売を防ぐための大切な工夫
こうした最悪の事態を防ぐには、「早く、そして確実に売る」ための工夫が大切です。
- 現実的な価格設定: 銀行の合意を得つつ、売れやすい現実的な価格を設定することが重要です。
- 幅広い販売活動: SUUMOなどのネットへの掲載と、地元の不動産業者への紹介を並行して行い、多くの人の目に留まるようにしましょう。
- 物件の印象: 部屋をきれいに掃除し、内覧時の印象を良くすることも、買い手を見つけるための大切なポイントになります。
少しの工夫と早めの行動で、競売よりもずっと良い条件で売却できる可能性が格段に高まります。
▶ 関連記事:任意売却と競売の違いは?メリット・デメリットを図解で徹底比較
5.連帯保証人にも影響がある
任意売却を進める上で、あなたと同じくらい影響を受けるのが、住宅ローンを組む際に「連帯保証人」や「連帯債務者」になってもらった方々です。
これは、任意売却をしてもローンが全てなくなるわけではないからです。
家を売却したあとに残った借金(残債といいます)については、もちろんあなたに返済義務が残りますが、その残債についての連絡や相談が、保証人の方にも届くことになります。
トラブルを避けるために大切なこと
保証人の方が何も聞かされていなかった場合、「なぜ急に自分に請求が来るのか」「一体何が起きているのか」と不信感を抱いてしまうのは当然のことです。そうなると、話し合いがこじれてしまう原因にもなりかねません。
このような人間関係のトラブルを防ぐためには、「誠実な対応と早めの情報共有」が何よりも大切です。
- 現状の説明: なるべく早めの段階で、ローンの状況や任意売却を検討している現状を、正直に説明しましょう。
- 残債の確認: 任意売却後の残債の額を一緒に確認し、今後の返済計画について相談します。
- 専門家を交える: 必要に応じて、任意売却の専門家を交えて公正な立場で話し合うことで、感情的な対立を避けてスムーズに理解を得られるよう努めると良いでしょう。
連帯保証人への配慮は、任意売却を円満に終えるための重要なステップだとお考えくださいね。

専門家が間に入ると、感情的な行き違いを避けられるので、話がまとまりやすいです。
▶ 関連記事:任意売却後の残債はどうなる?払えない時の対処や時効について解説
6.ローンを滞納することが必要
任意売却は、特別な手続きであるため、通常の売却とは決定的に違う点があります。それが、「住宅ローンの滞納が必要」という点です。
「滞納するのは怖い」「信用情報に傷がつくのは困る」と感じるのは当然のことですよね。できれば避けたいと思います。
しかし、任意売却は「家を売ってもローンが残ってしまう」という状況でのみ利用できる方法です。そのため、債権者(銀行など)が「もうこれ以上、この方からの返済は難しい」と正式に判断したときでなければ、手続きを進めることができません。
なぜ滞納が必要なの?
銀行が任意売却を認めるということは、「抵当権(家を担保にする権利)」を外すことを意味します。銀行側は、お金を貸した家を担保として持っているからこそ安心できるわけですから、その権利を外すには、「もはや回収は不可能である」という客観的な証拠が必要なのです。
この「返済が難しい」という客観的な証拠が、ローンの延滞(滞納)の状態なのです。
そのため、多くの場合、任意売却の手続きに入るためには、少なくとも3ヶ月程度の滞納が必要になってきます。
もちろん、滞納すれば「デメリット1」でお話ししたように、信用情報に事故情報が登録されます。この事実から逃げることはできませんが、「競売になる前に、少しでも良い条件で解決するためのステップ」だと捉え、専門家と相談しながら、計画的に手続きを進めていくことが大切です。
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7.引っ越し時期が早くなる可能性がある
任意売却は、競売と比べてあなたの都合を反映しやすいという大きなメリットがありますが、その一方で、「思ったよりも早く引っ越しをしなければならなくなる」という側面もあります。
早く決まると早く退去の準備が必要です
任意売却では、一般の不動産市場で買主が早く決まると、その買主との契約の段階で「いつ家を引き渡すか」という時期を決めることになります。
- 競売の場合: 退去命令が出るまで約1年ほどの猶予があることが一般的です。
- 任意売却の場合: 成立した時点で、買主の希望や契約条件に合わせて引き渡し時期を調整します。
そのため、競売と比べると「思ったより早く引っ越し準備をしなければならなくなった」と感じる方もいるのです。
買主と相談して調整が可能です
ただし、ここはご安心ください。任意売却の大きな利点として、買主と相談のうえで引っ越し時期を柔軟に調整できる点があります。専門の相談員があなたの状況を丁寧に説明し、買主と交渉することで、無理のないスケジュールで引っ越しができるようサポートしてくれます。
住み続けられる可能性もあります
また、「リースバック」という仕組みを利用すれば、売却後もそのまま住み続けられるケースもあります。実際に、任意売却とリースバックを組み合わせて、ご自宅に住み続けた事例もたくさんあります。
▶ 関連記事【任意売却の事例】競売寸前だったがリースバックで住み続けることに成功
任意売却の不安を解消したい方へ
任意売却のデメリットを知っておくことで、失敗を防ぎ、より有利に進めることができます。状況によっては、交渉次第で負担を大きく減らせるケースもあります。
「自分の場合はどうなのか?」と感じたら、まずは一度ご相談ください。
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