フラット35:融資不正利用者のその後
2019年に発覚した、住宅ローン「フラット35」の不正利用に関するご質問が多いため、現況を記載します。
不正利用した契約者のその後
「フラット35の不正利用」とは、住宅金融支援機構(住構)が販売するフラット35、つまり住宅ローンを使って、投資物件を購入していることが問題視されているものです。
そもそもフラット35とは、契約者自身が住む住居であることを前提として組まれる低金利の住宅ローンですが、この制度を悪用して、収益不動産・投資物件であるにも関わらず「住宅である」と偽って不動産を購入しているケースがあるのです。
この不正利用について“クロ”と判定された場合、ローンの引き落としは停止され、ローン残額について一括返済請求が起こされます。期日までに弁済できない場合、原則任意売却もできないまま、物件は競売とするのがこれまでの住宅金融支援機構の基本姿勢です。
これに対して仲介業者はというと、これまでにクロ判定となったのは11社、処分を受けたのは二社に留まります。これまでの内容や経緯から推察すると、フラット35の不正利用が氷山の一角であることは間違いないと思われます。
不正利用の特徴
この不正融資については、利用目的だけではなく、物件の内容と価格のアンバランスさにも不審な点が多いことがほとんどです。特に、多くのケースで以下の特徴があります。
【1】割高な価格で購入している
【2】対象は中古の区分マンションである
【3】無知な若者をターゲットにしている
<上記の説明>
【1】【2】
家賃収入を約束して若い会社員を誘い、中古マンションを販売。業者が客と口裏を合わせて目的を偽り、フラット35で多額の融資を引き出す手口は共通している。リフォーム後の引き渡しとして、多額のリフォーム代を上乗せなどして借りているが、実際には現況有姿(手つかず)のまま引き渡しを受けていることもある。
【2】
多くは20代後半から30代半ばの若者が巻き込まれています。もちろん、被害者とばかりするには世間の理解は得られないでしょうが、多くは不動産投資と住宅ローンの関わりなどまったく知らない人が、「サブリースで空室時も家賃保証があるから安心です。」「融資面接のときは自己居住と言うように。」「住民票は一旦物件に移すように」といった説明を聞いても何の不審感も抱かないのです。対して、業者は丸め込めのプロでしょうから、なかなか自己責任論だけでは片づけられない面も感じます。
今後の対応・対策
では、すでにこの事態に陥っている場合、どのような対処が考えられるでしょうか。列挙すると、以下が考えられます。
(1)物件を自宅とし、不正利用要素をなくす。
(2)投資用ローンに借り換える
(3)売却し、差額を支払う
2に関しては、割高に購入していた場合、担保力が足りない額を現金で差し入れる可能性が高いといえます。3についても同様です。
最後に
ワンルーム投資と同様、「頭金なしで手間いらずの投資」はないと心得ることです。いい話は向こうからやってくることはまず生じません。投資対象の分野に疎い場合は、必ず第三者に相談して決めるようにすれば、多くの失敗を防ぐことができるでしょう。