親子ローン:任意売却で子どもに迷惑をかけたくない
『息子と共同なら融資が下りる』に飛びついた結果…
相談者:Mさん(50代女性 無職)神奈川県
状 況:Mさんの元夫と長男で親子ローンを組んでいます。元夫だけでは審査が通らず、長男との親子ローンで融資を受けました。その後、長男は結婚して別居しました。その後長男の妻から「私たちの家を建てたい。親の家のローンから外してほしい」との要求が入ったのです。
自分たちの家を買う際には、将来のことまで考えが及ばなかったMさん。銀行に相談しましたが、「ご家族で同居すればいい」と、取りつくしまもありません。家はフルローンで買ったため、今売っても大きな借金が残ります。任意売却をすれば、息子さんはローンが組めなくなります(任意売却はローン滞納を経て可能になる手段であるため、債務者全員が影響を受ける)。
『住宅ローンは、おひとり様1件(軒)限り』
一般に、自宅は1軒です。住宅ローンもその前提で提供されています。二軒目以降を買う余裕があるならば、現金またはその他のローンで資金を用意すればいい。各種の優遇がある住宅ローンは、原則”おひとり様、ひとつ限り”です。Mさんは住宅ローンの位置づけなど考える余裕や知識もなく、ただ「夫だけでは組めないローンだったので、息子の名前を借りただけ。支払いは親がするので問題ないだろう。」という意識でした。
『名義貸し』に相当する契約違反
そもそもの問題は『息子さんは当初から親の家に住むつもりはなかった』という点です。これは名義貸しに抵触する恐れもあり、厳密にいえば契約違反にあたり、一括返済請求の対象になりえます。
息子さんにも家を買わせたい、と思うMさんは、何度も金融機関に夫のみのローンとしてくれるよう頼みましたが、受け付けてもらえません。息子さんありきで組むことができたローンです。彼を外してしまうことに応じるわけもなく、ただ二つの家庭が困る結果になりました。
《解決方法》
この場合の解決方法としては、
①住宅を売却する際、住宅ローンを完済する。
②息子さん家族が物件に住む。
のいずれかになります。どちらもできない、したくない場合、
③息子さんの妻名義で住宅ローンを組んで家を購入する。
④物件を買い換える際、今の家の売却損を息子さんの新しい家のローンにまとめて借りる(住み替えローン利用)。
という提案となります。
いかがでしょうか。当事者だけで組むことのできないローンには注意が必要です。住宅ローンは組めるから大丈夫なのではなく、しっかりとした将来設計に基づいて組むに越したことはありません。