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2023/02/21(公開: 2020/02/26)

(57)年金生活と任意売却 ~老後破綻をどう生き抜くか~

任意売却をするのは、何歳くらいの人が多いのでしょう?

任意売却をなさる方の多くは、40代から50代に集中します。また、年金生活者も少なくありません。その原因は、年代別に見ていくと明かな傾向があります。

30~50代:離婚、転職、収入の頭打ちなどによる経済難

60代以上:定年退職や年金生活突入による生活苦

任意売却をする方は中高年に多いのですが、年々高齢者の割合も増えているように感じます。相談者のなかには80代という方もいて、思わず「借金は住宅ローンでしょうか」と確認するほどです。そのほとんどが返済途中で利払いや月々の支払い額変更をしていて、思ったより住宅ローンが減っていないのです。

また、高齢者の方で住宅ローンは終わっているけれど、生活費をカードで“つけ払い”にしていることで、借金が積み重なり、自宅が差し押さえられた、という話もよく聞くようになりました。

いずれ払えなくなるなら、早い決断が吉である理由

若いほど生活の立て直しがしやすいことは、厳然たる事実です。その理由は、以下にまとめられます。

・時間の優位性…かけられる時間が長いほどチャンスが増える。

・気力と体力…若いほど相対的にやり直す気力と体力がある。

・心身の状態…売却には意思能力が、転居には体力も必要となる。

・社会的な環境…高齢でも若い方が賃貸を借りやすい傾向にあり、新しい環境にも適応しやすい

そして、日本では自宅の価格は段々と下がる傾向にあります。損切りを先延ばしにして、経済面が好転する事を期待しても、たいてい行き詰ります。結果、老後生活を脅かす借金が残った、手入れが必要で維持費もかかる自宅で身動きが取れない方が多数発生するのです。

任意売却するなら定年までに!?

任意売却をするほかないのであれば、身動きが取れる時に決心しなければなりません。なぜなら、売却・新居探し・転居・新環境への順応には、それなりに費用とエネルギーを必要とするからです。

高齢になって、資金も体力もなく、変化に対するストレス耐性も弱くなっている時に、住み慣れた家を手放すことがどれほどの負担であり、周囲の助けも必要とするかは想像に難くないでしょう。

我々は決して積極的に任意売却を推奨しているのではありません。しかし、いずれ行きつく結果が同じであるならば、仕切り直しが容易なタイミングを選ぶことで、最終的な安心を得られるのではないでしょうか。

高齢者による任意売却後の生活はどうなるのか

1)高齢者は、賃貸を借りられますか?

これまでのところ、ほとんどのケースで賃貸物件に入居なさっています。ただし、高齢者といっても60代と70代以上では、世間の扱いが異なります。特に家賃の保証会社の審査に通らないと入居ができない場合、物件の条件をかなり緩やかにして、空室を埋めるのに苦労している物件やシニアの入居に理解のある家主を探すことになります。それでも難しい場合、公的な住居の斡旋に期待するなどの手を打たなければなりません。なお、家賃保証会社の審査通過率は、70代に入ると低下する傾向にあります。

2)残債は年金生活者でも払える額でしょうか?

「任意売却後、家賃の支払いもあるのに、残債まで年金でまかなえるのですか?」
これは、結論から申し上げると“可”です。というのも、債務者に年金収入しかない以上、債権者は払える範囲で支払ってもらうしかありません。そのうえ年金は法律上、差し押さえができないことになっています。もちろん、自己破産などで借金を清算しておき、老後や将来の相続で家族に借金が残ることを避けるのも一法です。

高齢になるほど任意売却ができないケースが多発する

売買は、所有者や連帯保証人の意思能力がないと、事実上不可能になります。もちろん、家庭裁判所を通じて後見人を立てるなどの手段はありますが、裁判所の許可や選定結果が出るのに半年前後の時間がかかることが多くあります。また、後見人は、『被後見人の生活を利益を護る』ことが役目です。そのため、家を売却することが本当に利益にかなったことなのか、という視点で考えます。実際、家庭裁判所に債務の残る任意売却をする合理性を説明するより、競売のほうが仕事やリスクも少ないため、任意売却は対応しない後見人が多い傾向にあります。

特に連帯保証人が認知症などで被後見人になっている場合は、後見人は債務を認めるだけの立場となるため、利益は全くありません。よって、任意売却の関係者が意思能力を失っている場合は、家の売却はまず困難になります。

持家は資産ではなく「負債」~維持に必要なコストに注意~

家の維持管理にはコストがかかります。固定資産税に修繕費、機器類の取り換え費、損害保険料などです。高齢化が進むと、家の中を体の状態に合わせてリフォームしたり、機器を備える必要も出てきます。

分譲マンションの場合は、毎月管理費や修繕積立金の支払いが必要です。また、その費用も同額が続くとは限らず、大規模修繕などのたびに値上がりすることが多いようです。特に、小規模マンション(目安は1棟50室以下)の場合、一戸にかかる負担額が大きいため、大規模修繕のたびに一時金が必要になったり、管理費などの大幅な値上げが生じることもあります。

維持費の高くなった時点でマンションを売ればいいのか、というと購入者もわざわざコストが莫大な家を選びません。売るにも売れないマンションはもはやバブル時代に建設されたリゾートマンションの話に限らなくなっています。

もはや多くの持ち家は、コストのかかる耐久消費財に過ぎず、全国の高い空家率と高齢化社会を迎え、ひと昔前の「老人は賃貸を借りられないから持家が必要」という環境でもなくなっているのです。

検証:高齢者が任意売却に陥る背景

●65歳以上の6%強が老後破綻とも…。

社会問題化しつつある老後破産
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20140928
<NHKオンデマンド メニューより>

2016年9月28日にNHKで放送の『老人漂流社会“老後破産”の現実』によると、生活保護受給となる水準より下回る収入でかつ生活保護を受けていない高齢者世帯の現状を『老後破産』と称しています。

放送のなかで、驚くべき事実が報道されていました。

「全国に600万人を超えようとする、独り暮らしの高齢者の半数、およそ300万人が生活保護水準以下の年金収入しかない。そのうち生活保護を受けているのは70万人ほど、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしている。

全国に65歳以上の高齢者の数は約3200万人。上記を200万人と仮定すれば、16人に1人(6.25%)が老後破産の状態で、独居高齢者に限れば3人に1人が老後破産状態であるというのです。

家族が支え合うことも難しい時代 ~みんな自分の生活で精いっぱい~

団塊世代は、経済成長とともに仕事と家庭、親の介護も担ってきた割合が多いことでしょう。しかし、グローバル化経済は平成の約30年間で確実に社会構造が変わったと感じます。

ひとことで表せば、現代は『ジリ貧社会』です。

ひと昔前までは、人生すごろくのごとく「進学、就職、結婚、子育て、退職、年金生活」といったサイクルを描いており、真面目に働いていれば安穏とした老後生活が約束されていました。

その子世代である団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアは、親世代とはかなり状況が異なっています。長く続いたデフレ経済下のもと、昭和の価値観を引きずったまま社会に出ています。経済難でいえば、潜在的なものも含めると、かなりの割合で困窮しているものと思われます。

こちらに相談してこられる方についてどの世代にも共通するのは、自身の生活が手一杯または破綻予備軍であり、親の介護はもちろん、生活費の援助ができない、ということです。

資本主義社会が成熟していくと、貧富の差が激しくなり、中間層が減るのは歴史を見て明らかです。つまり、多くの人が気づかぬ間にジリ貧状態に陥っています。住宅ローンは人生の最もいい時に組むことが多いのですが、その状態が完済まで続くのは「期待」でしかなくなっている時代に私たちはいます。

任意売却119番