任意売却後の残債について

Q

任意売却後の残債はどうなるのですか?

a 任意売却後に残った借金は「残債務」と呼ばれます。この借金についても支払い義務があります。住宅ローン破綻を経て残った借金であるため、ローン(契約に基づく割賦金支払い)ではありません。債務整理をしない方は、債権者に月々支払える額を交渉します。その金額は、生活状況(家計収支)を見て決めるため、数千円から数万円程度の支払い額となることがほとんです。

質問を下さった方の状況を例にとると、おおむね以下のようになることが多いようです。

任意売却前と任意売却後のお借り入れ残高・お支払額の違い

※上記はあくまでも一例です。

Q

残債務の支払い交渉は自分でするのですか?

a 債務者(お金を借りた人)が金融機関と交渉します。これは、法律で債権交渉は本人または代理権を持つ者(弁護士や司法書士など)が行わなければならない、と定められているからです。ただし、交渉の方法については、私どもがアドバイスという枠組みでご案内することは可能です。自己破産などの債務整理は、強制されるものではなく、いつでも申請できるため、まずは交渉に臨まれることをお勧めしています。

残債の結果:実際の例

1)愛知県東海市 Eさん 41歳 会社員
勤務先の倒産により失職。2年の無職期間を経て再就職したものの、大幅な収入減でローン破綻し、任意売却を終了。
・債権者:住宅金融支援機構
・残債務 645万(遅延損害金含む)+カードローン30万
・状況:家族4人(妻と未成年の子)
残債実例1
2)埼玉県越谷市 Nさん 70代 無職
・債権者:保険会社(第二抵当の関東年金分)
・残債務:184万(遅延損害金含む)
・状況:独居(夫とは5年前に死別)、収入は遺族年金のみ。
残債実例1
3)兵庫県西宮市 Oさん 50代 契約社員
保険会社勤務後、保険代理店を開業したものの、業績低迷によりローン破綻。今は保険代理店の契約社員。
・債権者:地方銀行の保証会社
・残債務 620万(遅延損害金含む)+消費者金融など5社210万+教育ローン150万
・状況:家族3人(妻と社会人1年目の子)
残債実例1

残債の結果:実際の例

残債務の対応にはいくつかの選択が考えられます

1)少しずつ支払う
割合的には最も多い対応です。「多額の借金でも月1万円の支払いなんて、受け入れてもらえるのですか?」とよく聞かれますが、実際1万円前後の支払いで様子を見てもらっているケースは少なくありません。債権者が少額ずつの支払いを認める理由は、債務者が債務整理をしない以上、請求するほかないこと、住宅ローン破綻を経ての任意売却なので、高額の支払いを求めても払う資力がないのを承知しているためです。

2)債務整理をして、早期にメドをつける
経済的な合理性から考えれば、自己破産や個人再生などで、借金を免責してもらったり、大幅に圧縮してもらうことで、経済的な再生は早くできます。

3)その他
こちらは債務整理もせず、少額ずつの支払いもしない場合の選択については、回答致しかねます。理由は、踏み倒しを指南することになるからです。債権者が請求を諦めるのではないか、時効の援用を目論めるのではないか?といった質問に答えるのは、道義的に問題があります。

Q

少額ずつの支払いでは、借金が一生かかっても返済できませんよね?

a 何百万、ときに1千万円を超える借金を、月々1-2万ずつ返していては、いつまで経っても借金は終わりませんし、本当にそんな返済を何十年も続けることができるのか?と訝しむ声があるのは当然です。

1)住宅金融支援機構や日本政策金融公庫からの借入金だった場合
少額の支払いが続けられるのかどうかは、もともとの借金が民間企業からの借入どうかで考えます。住宅金融支援機構や日本政策金融公庫など、税金絡みの借金はこれまでのところ、少額ずつの支払いが続いているケースがほとんどです。ただし、定期的にヒアリングや面談があり、生活状況が良くなっていれば、返済ペースを上げたり、相続した財産を突き止めて、一括返済を求めていることはあります。

2)民間企業からの借入した場合…借金が早期に終わることがある
・あなたの残債を買う法人、サービサーとの交渉
任意売却や競売のあとに残ったあなたの借金を買う会社があります。それが、サービサーと呼ばれる債権回収会社です。サービサーは。一定の要件を満たした法人が、法務大臣の許可を得て活動しています。

Q

なぜ、サービサーが出てくるの?

a まず、金融機関にとって、返済をしてもらえないローンがどのようなものになっているか?を知ると、分かりやすくなります。
回収不能になった貸出金は、金融機関にとっては、「事故(不良)債権」です。このような取り立ては、手間も時間もかかる割に、回収できる金額は限られています。また、増えては回収できない不良債権をそのままにしておくと、会社の資本が脅かされることになり、本業である金融機関の業務にも支障が出ます。そのため、定期的に貸倒金として処理し、サービサーに債権を譲渡しているのです。

サービサーとの交渉で、借金が大幅に減額されることがある
不良債権は原則、バルクセールといって、まとめ売りをされています。以下は、サービサー担当者に直接確認した流れです。
・入札制で売買されている。
・一入札ごとに何百もの不良債権がまとめられており、その中身のリストをざっと見て入札額を決める
・一番高値で落札したサービサーが新しい債権者となる
ここから、新しい債権者になり、債務者には突然知らない法人から連絡を受けるようになります。旧債権者から通知があるかもしれませんが、経験者に聞くと、かなりの割合である日知らない企業から通知が届いて、自分の借金が他の企業に譲渡されたと知った、という声が多くあります。

サービサーの「全額一括返済」は建前
例として、残債務が300万円あるとします。
サービサーは債権回収業務を専門にしていますので、債権をいくらで買おうがまず「300万円を一度に返済してください」と言いますが、それができないのは百も承知です。

次に支払い計画の変更を持ちかけるでしょうが、恐らく「月1万や2万円の支払いには応じられない。月5万の60回払い(5年)にしてください。」といった”ハイペースな完済計画”を切り出すでしょう。
ここで、応じなければどうなるのだろう…と不安になる方が続出します。しかし、約束して実行できないことに応じてはいけません。決着がつくまでに、何度か交渉を重ねることになるでしょうが、担当者も同じような案件を数百件単位で抱えているはずです。月数万の回収のために多大な労力をかけるわけにはいきません。ここでやっと現実的な方針に舵を切ります。

借金の大幅減額
サービサーは、不良債権のまとめ買いをしているので、そもそも回収が難しいのは分かっています。調査をして債務者に差押えのできそうな財産や収入がないとなれば、あとは「早期に確実な回収」を目指すしかありません。
「いくらなら払えるのか?」となり、「100万円支払って終わりにしないか?」など、その債権者や債務者によっていろいろな切り出しがあるでしょうが、恐らく見込んでいる回収額より高い金額で打診をしてくるはずです。ここまで粘ることができたなら、あとは懐具合との相談です。払える金額を伝えましょう。すぐにはまとまらないかもしれませんが、話し合いがついた際は必ず、支払い金額と残債務の請求はないことを明記した書面を交わしましょう。