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2023/03/07(公開: 2019/10/08)

(37)住宅ローンは滞納していないのに、家が競売にかかりました

『住宅ローンは滞納していないのに、自宅が競売にかかりました。おかしいですよね?』

実は、このようなことは日常的に起きています。抵当権者以外が債務者の家を差し押さえることはよく起きています。お金を貸して、契約通りに支払いがないと、金融機関は債務者の財産調査をします。とりわけカードローンや消費者金融系の金融機関は、支払いが踏み倒しによるものかどうかを見極める目的もあるのか、少額の借金でもこのような対応は多く、早期に債務者の自宅を差し押さえます。

実際、競売情報のBIT<裁判所による競売物件情報サイト>を見ると、担保権以外での差押えの付与番号である(ヌ=担保権以外の債権による不動産差押え)が散見できます。

住宅ローンが完済できないと、競売になってしまう

もちろん、競売にかかった場合でも、競売申立者に取り下げに必要なお金を渡せば、競売は取り下げとなります。問題はそのお金が準備できず、競売が進んでいくことです。この段階で任意売却を決心しても、住宅ローンの滞納がない以上、第一抵当であるローン部分が売却代金で完済できないといけません。それは、正常債権のまま担保割れ(借金を残すこと)の任意売却に応じることができないからです。

無剰余なら競売はできないはずでは?

たしかに担保不動産を差し押さえても、その価値が借金を下回る状態では、抵当権者以外からの強制売却は裁判所が認めない、これが原則です。これを『無剰余差押えの禁止』と言い、法律で定められています。

しかし、不動産の評価額は人が行うため、値段の出し方に開きがあります。評価額が抵当権の設定額やそのローン残高以下かどうかが微妙な場合、ときに明らかに無剰余に見受ける案件についても、後位の抵当権者あるいはその他の債権者が第一抵当権者をまたいで競売を申し立て、裁判所が認めていることはよくあります。

競売開始になっていても、任意売却は可能ですか?

これはケース・バイ・ケースです。第一抵当である住宅ローンに滞納がないまま、後位あるいはその他の債権者による競売が認められた場合、次の流れになっていきます。

1)第一抵当のローン残高<物件の時価

競売申立人への借金額+競売申立費用+遅延損害金を全部弁済できれば、取り下げOKです。申立人へ完済できない場合は、任意売却として交渉し、申立人が条件をのめば、取り下げとなります。

2)第一抵当のローン残高>物件の時価

この場合は、任意売却がかなり難しくなります。理由は、正常債権のままでは完済以外抵当権の抹消に応じることができないからです。ただし、金融機関によっては社内手続きを早期に処理してくれることもあります。裁判所の手続きのスケジュールと住宅ローン債権者、物件の買主側の三者すべての調整がつくことが必須となります。

差押えの刺客:税金滞納

~固定資産税滞納の怖さ~

地方税である、固定資産税や市県民税などの滞納による物件の差押えはかなり厄介です。というのは、一旦差押えをつけてしまうと、「延滞税も含め、全額納付しないと差押え解除には応じない」という姿勢の自治体が増えているからです。滞納額が高額かつ自治体の姿勢が厳しいと、むざむざと競売にせざるを得なくなります。”競売にしても、税金回収につながるわけではない!”と、いくら訴えても、〇〇地方税回収機構などに窓口が変わると、公売や給与、口座の差押えは覚悟しなければならないでしょう。

もし、地方税の滞納により物件が公売にかかった時も、流れや任意売却の可否については、競売とほぼ同様のものとなります。

まとめ:競売の原因は住宅ローンとは限らない

「家だけはなんとか守りたい、とローンだけは滞納しないようにしてきました。カードローンや消費者金融で借りてまで住宅ローンを払ってきたんです。」という話をよく伺います。しかし、”伏兵”とも言える、抵当権者以外からの借金や租税の未納には注意が必要です。

不動産の維持には、ローンを含む購入代金以外にも結構な費用がかかります。取得費や固定資産税、損害保険、修繕費などはどうしても発生するものなので、購入時に想定しておかなければなりません。

ここで賃貸と持家のどちらが有利か?といった議論はしませんが、持ち家は、手放したくても売れない、あるいは維持したくても思わぬ要因で取り上げられる可能性があることは念頭に置かなければなりません。

ケーススタディ

「住宅ローンは払っていますが、自宅が競売にかかりました」

相談者:会社役員Sさん 女性 大阪市鶴見区

状況:母と住むマンションが競売にかかりました。数年前に保証協会から借りている運転資金の返済を滞らせてしまい、窓口銀行から保証協会へ担当が変わっていました。依頼、残債務を保証協会へ支払ってきました。自宅のローンは母が年金から払ってくれていたため、滞納はありません。

日本政策金融公庫からの借入だったローンを一時期、法人の運営が苦しくて支払いを滞らせた時期がありました。保証協会に変わってからは、毎月指定された返済していました。そのため私にはどの借金も滞納している意識はなかったのです。

住宅ローンを借りている銀行からは、『競売にかかった以上、残金は一括返済請求します。』と言われました。現況調査の時、裁判所の方にこれからどうなるのかを聞いた際、”任意売却されたらどうですか?”と言われたのです。

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調査:Sさんの会社は一時的に運営が危ぶまれたものの、今は順調なようです。ただし、日本政策金融公庫からの借入について窓口が保証協会になっている時点で、ローンは事故債権化しています。残債こそ滞納がなくとも、あくまで不良債権です。そのため、保証協会はSさん名義のマンションを差し押さえたほうが回収額が早い、とにらんだのでしょう。具合の悪いことに、何も知らないお母さまが保険の満期金を使って住宅ローンの大部分を繰り上げ返済してしまったことが発端で、競売になったようでした。

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結果:マンションは競売を避けるため、任意売却せざるを得ませんでした。ただし、Sさん母娘はリースバックで物件に住み続けていらっしゃいます。Sさんが5、6年内には再購入をすべく、買戻し特約をつけた契約を結びました。

Sさんからは「母とは同居していても、お互いに意思疎通ができていなかったな、と思います。私は事業のことは全く母に話していませんし、母が私名義で保険を掛けていたとは聞いていませんでした。保険の満期金をローンを繰り上げ返済に充てたことも当然知りませんでした。思えば事業資金の返済ができなかった時、母に相談していれば、この保険金を日本政策金融公庫(保証協会)への返済に回せたので、今回の競売もなかったわけです。この歳で親を頼ると心配させると思っていたのですが、最初から打ち明けていればよかったな、と思います。」

 

任意売却119番