任意売却する際に考えるべき連帯保証人の影響とは
任意売却をする際、「連帯保証人に迷惑がかかるのではないか」と不安を感じる方は珍しくありません。連帯保証人になってくれている人は身内が多いため、「身内に迷惑をかけたくない」と思うのが普通だからです。
しかし結論から言うと、任意売却をする事で連帯保証人に迷惑がかかる可能性はあります。任意売却を利用しようとしているということは住宅ローンを滞納している状態といえるからです。
もし、あなたが、滞納をして債権者が払えないと判断すると、必然的に連帯保証人に連絡がいきます。連絡が来てしまうと、連帯保証人には支払い拒否の権利がないため、必ず支払わなければなりません。最悪の場合、財産の取り押さえもあり得ます。
このような事態になっては、連帯保証人に顔向けできないうえ、あなたも困るはずです。では、どのようにすれば連帯保証人に迷惑をかけずに任意売却をおこなえるのでしょうか?
そこでこの記事では、「連帯保証人への影響」や「なるべく迷惑をかけずに任意売却する方法」について解説していきたいと思います。
任意売却で連帯保証人に迷惑をかけるか不安を感じているあなたは、最後まで読んで、ぜひ参考にしてみてください。
- この記事の監修者
- 富永 順三 任意売却119番・代表コンサルタント
- 大手企業、経営コンサルタント、阪神大震災復興支援NPО、経済振興財団、企業再生・М&A会社等を経て現職。中小零細の事業支援実績が認められ04年に中川大臣(故)より”経済産業大臣賞”を受賞。
連帯保証人とは
連帯保証とは、住宅ローンや事業ローンの借入れで、債務者(住宅ローンを借りる人)が返済不能に陥ると、代理返済をする保証のことです。
そのため、連帯保証人になると、債権者(お金を貸した金融機関等)から請求がきた際は、債務者の代わりに借金を返済しなければいけません。
それだけではなく、法律上、債務者と連帯保証人は同等の立場という扱いになります。要するに、債務者が返済不能かは関係なく、債権者はどちらに請求しても問題ないということです。
とはいえ、通常は、債務者がローンの支払いをすることになります。それだけ責任の重い保証だということは知っておきましょう。
債権者は返済できそうな人から回収しようとする
債務者が滞納した場合、債権者は債務者・連帯保証人どちらか「支払いが可能な人」に返済を要求します。先に述べた通り、法律上、連帯保証人は債務者と同等の立場だからです。
例えば、債務者であるあなたより連帯保証人の方が容易に回収できると判断した場合は、債務者に督促せずに連帯保証人へ返済を要求する事があります。
当たり前ですが、債権者としては、不良債権になる前に一刻も早く返済して欲しいと考えます。ですから、不良債権になりそうな貸し出しは、出来るだけ容易なところから回収するのは当然です。
このように、ローンを滞納してしまうと連帯保証人に迷惑がかかるリスクは大いにあります。最悪の場合、住宅ローン残高の一括請求を要求されるので、連帯保証人は資産の大半を失うリスクがあります。
このような状態になると、あなただけの問題ではありません。そうなる前に、早めの対策をする必要があります。
任意売却で連帯保証人に迷惑をかけてしまう例
任意売却を利用する状況というのは、言い換えれば、住宅ローンを滞納している状況です。
ここまでの説明で、あなたがローンの返済を滞納することによって、連帯保証人に多大な影響を与える可能性についてご理解いただけたかと思います。
ここでは2つの例を出して、実際にどのような迷惑がかかるのか具体的に説明していきます。
連帯保証人が両親の場合
住宅ローンを組む際は、両親に連帯保証人になってもらうケースが多いです。その中には、両親の自宅(不動産)を担保に住宅ローンを組む事もあります。このような場合は、最悪、両親の自宅を失う可能性すらありえます。
それは、どのような状況なのでしょうか?例えば、任意売却で残債を完済できなかった場合です。その場合は、両親が連帯保証人になっていると両親に残額の返済を要求されます。この際、両親が返済できる資産を持っていないと、両親の自宅を売却することで返済することになります。
離婚した配偶者の場合
離婚した配偶者の場合も両親と同様に債務を負う必要があります。連帯保証人は、離婚や別居に関わらず住宅ローンの完済までついて回るからです。
しかし、離婚した配偶者が返済を請求された場合は、「元配偶者が、滞納していたのを知らなかった」、「その家に住んでいないのに払えない」といったトラブルが後を絶ちません。
このようなトラブルを起こさないためには、離婚までに取り決めをしておく事が重要になります。
例えば、連帯保証人を変更するなどです。
連帯保証人になるべく迷惑をかけないように任意売却するには
ここまでの解説でご理解いただけたと思いますが、任意売却は、債務者だけの問題ではありません。場合によっては、連帯保証人に迷惑をかけてしまう可能性があるからです。では、どのようにすれば迷惑をかけずに任意売却をおこなえるのでしょうか?
ここでは、連帯保証人になるべく迷惑をかけずに、任意売却をする方法を詳しく解説していきます。
連帯保証人に連絡する
まずは、すぐに連帯保証人に連絡をし、状況を説明してください。「滞納により、返済困難になったため任意売却」をすることや「迷惑がかかる恐れがある」ことを連帯保証人に伝えることが重要になります。
なぜなら、任意売却をするには債務者であるあなたと連帯保証人の同意が必要になるからです。
住宅ローンの残債より安い金額で売却となると、残債が残ってしまうので、連帯保証人の返済義務が継続されます。そのため、「残債の保証」や「売却価格を理由に、保証義務の返済を拒むのを防止する」ために、債権者は同意を要求するのです。
いきなり債権者から連絡がいってしまうと、感情が先走ってしまい、スムーズに売却手続きができない可能性も生じます。そうならないために、売却が決まった時点で、早急にあなたから連帯保証人に連絡をして説明をする必要があります。
債権者に納得してもらえるように交渉する
これまでの説明どおり、任意売却はあなたの一存だけで、行うことはできません。任意売却をするには、残債が残ってしまう不動産に対して、債務者の合意を得る必要があるからです。
では、何故、合意が必要なのでしょうか? まず、住宅ローンを組む際は、債務者が住宅ローンの返済不能な事態に備え、対象となる不動産に対して抵当権が設定されます。
抵当権とは、分かりやすく言い換えると、借金(住宅ローン)の担保のことです。この抵当権が、不動産を売却するうえで障壁となります。 任意売却に限らず、売却する際は、抵当権を債権者に外してもらう必要があるのです。
通常、抵当権を外すためには、全額返済をする必要があります。 しかし、全額返済はかなりハードルが高いはずです。そこで、任意売却では、債権者の同意を得て抵当権を外してもらいます。しかし、金融機関も慈善事業ではないため、債権者にも利のある話でないと受けてもらえません。
そこで、債権者が納得するように交渉する必要があるというわけです。
任意売却を行いたいなら相談が大切
ここまで、任意売却をする際に、連帯保証人への影響について解説してきました。
連帯保証人の立場は責任が重く、主債務者が滞納をすることによって、大変な迷惑がかかることをご理解いただけたと思います。
そのような最悪な事態を避けるためには、債権者に対してあなたに有利になる交渉をする必要があります。交渉のやり方によっては、あなたに有利に働き、連帯保証人に迷惑をかける事を避けられるはずです。
しかし、債務者との交渉をスムーズなものにするには、相応に深い知識や経験値を要します。少なくとも債務者の希望や都合を前面に出しては決裂してしまいます。
任意売却119番では、依頼主それぞれの状況に合った交渉の進め方もご案内しております。きめ細やかなサポートをご希望なさる方は、ご相談ください。