幸せになるための離婚とは? ~対談・離婚カウンセラー×富永 第2部~

富永 「先生は離婚のスペシャリストとして、年間たくさんの離婚相談を受けておられると思います。今日は、先生ご自身が離婚のスペシャリストになろうと思った経緯と、昨今の離婚の傾向などをお話いただければと思います。」

カウンセラー 「まず、私が離婚カウンセラーになったきかっけは、自分の離婚からなんです。
原因は夫の浮気だったんですけど、すごくありとあらゆるやり直しと修復の努力をして、それでもうまくいかなかったということで離婚するとなった時、4つの子供と自分の両親をかかえて、その上買ったばかりの家のローンをしょって、どうしていいかという状況でした。
いろいろと自分なりに努力をした結果、私はなんとか乗り越えられたのですが、こんなに離婚って大変だったのかと思って…」

富永 「(離婚が成立するまで)長くかかったのですか?」

カウンセラー 「そうなんです。調停で1年以上かかっていましたし、精神的疲労も、経済的負担も大きかったのです。私がこんな苦労したんだから、これから離婚する人たちも大変なのではないかと思って、だったら、何かアドバイスをしてあげよう、自分の経験を生かして立ち上がろうという気持ちでカウンセラーになりました。
正直本当に、家のローンも抱えて、そのローンも、夫が働いて私が専業主婦だったので、名義を銀行になかなか変えてもらえない苦労があって、そういう面でもすごく大変でした。」

富永 「ところで、離婚は、今増えてるんですか?」

カウンセラー 「そうですね。一時期、年金分割などの問題が取りざたされる前には年間29万件…」

富永 「29万件!」

カウンセラー 「過去最高、アメリカに次ぐんじゃないかと、2組に1組は離婚しちゃうんじゃないかというほどの勢いでした。
しかし、年金分割が施行されてからは、皆さんが離婚について本当によく考えたのですね。離婚するにも準備が要る、知識と情報が要るということが分かって、時期尚早な離婚がなくなってきました。思いつきな離婚、感情的な離婚をとどまって、計画的に離婚するようになったので、今は25万件程度で横ばい状態です。
ですが、現在の離婚事情としては、離婚件数は横ばい、でも結婚する人も少ないので、離婚率はすごく上がっています。
そして、結婚5年目までと20年目以上という両極端、真ん中の層はまた経済的なことなどで我慢するのですが、結婚したばかりの人と、熟年のところが一番多いですね」

富永 「そうですか。離婚にもいろんな要因が考えられますが、最近増えているのはどういうケースですか?」

カウンセラー 「今までのご相談でも『性格の不一致』が一番多かったのですが、『性格の不一致』の中でも、最近は『価値観の違い』というのが増えてきています。また、男性ではモラハラが増えています。今ままでは身体的暴力殴ったり蹴ったりが多かったのですが、今は精神的暴力、言葉の暴力だったり、生活費を入れなかったりというモラルハラスメントが増えています。
また、浮気にしても、昔は男性が浮気するのがあたりまえだったのですが、近頃は女性の浮気もあります。 今は皆さんきれいになってるじゃないですか。だから、旦那さんが大事にしない時によそで声をかけられてぽーっとなっちゃってという、女性の浮気も増えています。」

富永 「私どもが、住宅ローンの相談を受けていて、借金の問題が多いなと感じていますが、先生のところでは、借金が原因で離婚に至るケースもありますか?」

カウンセラー 「そうですね。今は安易に借金できるじゃないですか。サラリーマン金融とか。金利もわりと、今までは非常に高かったけど、返せないことはないという金利になってきていますね。
それで、返せると思って平気で借金してしまう人がいますが、例えば、その方の奥さんは借金をすることそれ自体が許せない、返せる・返せないの問題じゃなくて借金を内緒ですることが許せないというような問題が非常に多い。(借金問題で)軽いものはそんなこと、そして、重いものになると、やはりその借金が返せなくなったり、家のローンさえ払えなくなったりという問題も、かなり多いです。
家のローンが払えないのケースでは、旦那さんが払わないから、奥さんの方は「あたしのローンじゃないわ」と言って払わない、それで、結局3ヶ月ぐらいで競売になっちゃいますよね。そうして、あれよあれよといううちに家を追い出されて泣いている奥さん、多いですよ。」

富永 「私たちのところには、まさにその住宅ローンの問題の相談が非常に多くて、年間3000~4000件程度のご相談があるのですが、その1/3強がだいたい離婚の問題です」

カウンセラー 「そんなにあるんですか」

富永 「特に多いのが、なんとか離婚後も住み続けたいというご相談。どちらかというより、男性よりも女性の方が家への思い入れって…」

カウンセラー 「そうですね!自分でやっぱり、台所を作ったりした思いがあるし、そこには子供との思い出がありますからね」

富永 「ご主人はもう売ってしまい、でも奥さんは残したい・済み続けたいという問題が多いです。
しかし、いちばん問題なのは、バブル以降、ずっと地価は下がり続けていることです。たとえば、10年前、15年前に4000万円くらいで自宅を買った方は、マンションを買ってローンを払い続けてきても、まだ3000万円ローンが残っている。そして、離婚するのでもうこの家を売ってしまおうということになって、不動産屋さんに相談したら『この家は、今2000万円で売れたらいいところですよ』と言われて、『え?じゃあ、あと残った1000万円はいったいどうしたらいいの?』とびっくりするのです。ご本人たちの預貯金を切り崩して支払うしかないのですが、そうしなければ住宅を売れない状況になるのです。そこで、売りたくてもうれない、どうしようと…」

カウンセラー 「大きな売り物ですからね。損失もすごく大きい」

富永 「そうなんです。」

カウンセラー 「途方にくれてしまいますね」

富永 「そこで、私たちがいろんなアドバイスをしているのです。 不動産の売り方には、大きく分けて3つの方法があります。
ひとつは、一般売却
さきほどの例で言えば、この家がローン残高と同じ3000万円以上で売れれば全然問題ないですよね?
また、預貯金がある程度あって、2000万円でしか売れないんだけど、自分たちの預貯金を1000万円切り崩して売れるのなら、これも、まあ問題ない。
でも、なかなか500万円とか1000万円とか、まとめて用意なんて難しいですよね。しかも、離婚の問題もあり、仮に他に借金などがあればなおさらです。そういう方は、売りたくても売れない状況になるのです。
それで、皆さんが取られる行動は、売れないからローンを払い続ける、という行動です。
しかし、無理をして支払いを続けていると預貯金がなくなってきますよね。
次には、親類縁者からお金を借り始めます。しかし、親や兄弟もずっと貸してくれるわけではありません。
すると次には、カードローンなどを借りて住宅ローンを返済しようとするんです」

カウンセラー 「え!そこまで行っちゃうんですか?」

富永 「ええ、そうなるともう、借金地獄になってしまうんです。結局、払えなくなって競売になってしまう。無理やり自宅を取られてしまいます。」

カウンセラー 「なんとか、少しでも払おうと思って努力しちゃうんですね?借りてでも… そして、結局最後は力尽きて、お金も尽き果てて、競売になってしまうんですか。」

富永 「そうです。じゃあ、競売になる以外に方法はないのか?ということで、今私たちが取り組んでいるのが任意売却です。任意売却の、ひとつのメリットは、残債が残ったままでも売れるということです。」

カウンセラー 「普通は残債が残っていると売れないんですね?」

富永 「それを、金融機関と相談して、たとえば、あと1000万円残債が残るけれども売却させてください、ということで売却できるのです。」

カウンセラー 「しかし、なかなか銀行はうんと言わないじゃないですか。そんなのダメですという銀行が多そうな印象がありますが、その辺はどうですか?」

富永 「そのあたりは、私たちは専門家として、金融的なこと、また不動産のこと、きちんと査定書を作って金融機関と話し合いをして…」

カウンセラー 「銀行を説得してくれるんですか?」

富永 「そうですね。」

カウンセラー 「なかなか銀行さんとの話がうまくいかなくて泣く泣く競売になる方が多いですから、それはすごくいいですね。」

富永 「そして、もうひとつ心配になるのは、じゃあその残った1000万円の残債はどうなるのかいうことです。基本的に借りたものは全部返さないといけないのですが、これもしかし、たとえば離婚してしまって奥さんも旦那さんも収入が減って払えないということになると、金融機関と話し合いをすることによってだいたい1/5~1/10くらいに圧縮することができるんです。ですから、1000万円残債があるからといって、必ずしも1000万円払わなくてもいいというケース、たとえば100万円とか50万円に圧縮することができる」

カウンセラー 「なるほど。競売になってしまったら、銀行さんも損だということですか?それだったら少しでも話し合いで、銀行さんに多く(お金が)入った方が得だというふうに説得をなさるんですね?」

富永 「そうですね。先生がおっしゃったように、競売になってしまうと、だいたい不動産は市場価値の半分~7掛けくらいの価格になります。でも、銀行と話し合うことによって任意売却すると、だいたい市場価値に司会価格で売れるので、金融機関も、任意売却の方が競売よりずっといいんですよ。」

カウンセラー 「それはいいですね。しかし、なかなかそういった話し合いをしてくださる方がいないから、任意売却119番みたいなところが大事だということになりますね。」

富永 「ありがとうございます。
そもそも、任意売却という言葉は、先生もこれまであまりご存知なかったでしょう?」

カウンセラー 「知らなかったですね。もう競売ということしか知らないから、払えなくなったら競売、としか頭にないですよね、普通の方は。」

富永 「そうなる前にご相談いただければ、私たちが金融機関との間に入って、コーディネートをします。弁護士さん、司法書士さん、私たちのような任意売却のカウンセラーが間に入って、できるだけ守ります。
もしどうしても今の家に住み続けたいという場合は、その家を奥様または奥様のご親族の名義で買い戻すという方法で住み続けることもできます。」

カウンセラー 「私は20年前から離婚の相談を受けていますが、家のことに関する問題は非常に多くて、本当は住みたいのに払えないから売らなければいけないとか、いろんな問題があったので、そういうお仕事は本当に必要だと思いますが、認知具合はどうですか?」

富永 「リーマンショック後、不況が続いて、住宅ローンが払えないという方が多くなってきたので、やっと今多くのメディアが任意売却という言葉を紹介してくれるようになりましたが、まだまだ知らない方が多いですね。」

カウンセラー 「でも、そういうお仕事は本当に必要です。私のところのご相談でも家のローンでは困っている方がとても多いので、ぜひ相談に乗っていただいて、離婚の時の専門家・ブレーンというかたちで協力してがんばれたらと思います。」

富永 「1日のうち、1~2件が離婚問題ですから…」

カウンセラー 「そうですか。増えているんですよ、離婚が増えているというより、離婚をしようかな、と準備に入っている方が増えています。」

富永 「社会的な救済という意味では同じような立場だと思いますので協力していきたいです。」
カウンセラー 「同じ離婚でも、相談者が必要とするものが違ってきたりするんですけれども、離婚にまつわる相談事例でも借金問題はとても多いので、みなさんのお力になっていただけると、困っている方の勇気付けになりますから。」

富永 「今日はどうもありがとうございました。」

カウンセラー 「ありがとうございました。」